デジタル相がUSで自動運転タクシーに乗車したら何か変わるか?

日本のデジタル大臣が、サンフランシスコでウェイモの自動運転タクシーに乗ったというニュース。

当たり前のように、日本でのサービス開始についての希望を述べておられます。

確かに皆様の周りにもアメリカや中国に行って、自動運転タクシーに乗って感激して帰ってきた人は多いかもしれません。

すぐに同じような世界が日本でも展開されるのではないかという話になってしまいますが、果たして日本で実現するでしょうか?

目をつぶっても運転できるぐらい簡単なUSの道路事情と、人が死ぬような事故が起こっても簡単にもみ消せる中国で実用化されたとしても、日本で自動運転をオープンな環境で実現するには20年早いような気がします。

USや中国でさえ、自動運転が実用化されている地域はごく限られています。自動運転自動車を買えば、どこでも自動操縦できると思うのは早計です。

自動車本体の装備に注目されますが、それ以外の社会インフラに関わる部分の整備が最も重要です。

日本の新幹線の正確で安全な運行は、車両本体の性能もさることながら、線路や信号などの運行システムと、それを管理する担当者の力量に支えられていることに疑問はありません。

日本で自動運転タクシーを運行するならば、現在よりもタイムリーな道路状況を把握するシステム、総括的に管理できる運行センター、そしてその新しい社会インフラを許容する社会秩序がなければ成り立ちません。

そもそも日本の道路の形状や交通標識は、運転者や警察官によって正規の通行方法の解釈が異なるような、どっちに判断したらよいか不明なことが数多くあります。標識の法規も自動運転に適しているとは思えません。

大臣が一人自動運転タクシーを体験したところで、これらを解決できるわけではありませんから、もっと産学政治が一体になって取り掛からないと、いつまで経っても差が縮まるどころか差が開く一方です。

実は、自動運転が実用化されて一番困るのが既存の自動車メーカーですから、新興自動車メーカーがない日本では、自動車メーカーからの自動運転化の努力は見込まません。

そうかと言って、このまま行けば日本の自動車産業自体が、USや中国企業に乗っ取られてしまいます。

これはデジタル大臣だけに任せておけば良い問題ではなくて、日本のすべての産業や政治に関わる問題です。

是非、真剣に取り組んでいただきたいものです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です