自由経済と人手不足

競争によってより進化したよりよいサービスが提供できるようになり、その結果サービスを提供する側の生活も向上する。

みたいなことがまかり通ったのは、自由に競争することが経済をうまく回せていたころの話で、サービスの数が増えて提供する人が相対的に少なくなってしまうと、競争どころか提供すらできなくなってしまいます。

最近のタクシーや宅配業界、これらに限らずあらゆる業界で人材不足、労働力不足が叫ばれて何年にもなります。

人口が減少傾向であってもサービスの数が増えていった結果、オーバーヘッド部分が多くなっているのではないかと思います。

そこで、ヤマト運輸と郵便局が集配センターを共同で運用するなどの方策が登場して、結果としてサービス数の減少という事態になりつつあります。

要するに、同じような内容の少しだけ違うサービスが乱立した結果、ユーザーも選択に苦慮してしまい、サービス提供者も無駄な労力とそれに伴う経費が増えてきたということでしょう。

ITや機械化によって省力化が図られているとしても、その進化では追いつかないぐらい複雑化した社会になっているような気がします。

これからは自由に経済活動を行うにしても、何らかの存在価値を見いだせないものは、社会を複雑にするだけで進化を止めてしまうこともあり得るでしょう。

子育てで自由放任が何でも良いわけではないように、自由経済にももう少しルールが必要なのかもしれません。

豊かさとビッグマック指数

日本の賃金が上がらずどんどん貧しくなって行く。

ビッグマック指数なる経済指標らしく振る舞っている数字がありますが、日本のビッグマック価格は世界でも最低水準で、日本は貧しくなったと言われています。

90年代は全く逆で、当時はそれほどビッグマックは世界的な標準品ではなかったと見えて、マックバーガーやチーズバーガーの値段が比較されていたように思います。

当時は世界中で日本のバーガーがダントツに高く、軒並み3倍ぐらいの価格差で販売されていました。

その結果、日本の新聞には日本の物価の高さを問題視する記事が溢れ、同様に東京とニューヨーク市のホテルレストランのビーフステーキの価格を比べて、日本の法外な高さを憂いていたものです。

当時のドルが90円から100円ぐらいで、円高の影響が大きいのは当然ですが、それより当時の日本ではホテルのステーキは言うに及ばず(今でも高いが)、マクドナルドのハンバーガーもそれほど大衆的なものではなかったのです。

その後、100円マックや250円の牛丼が登場して安い外食が定着しましたが、ビッグマックを経済指標にするのは少し問題があるような気がします。ましてやホテルのレストランでビーフステーキを食べることなど、経済の指標にならないでしょう。生活からかけ離れています。

つまり、価格が高いことを示すためには高い目のものを比較対象にして、安いことを示すときは安そうなものを比較するのです。これをあまり真面目に討論しても意味がありません。

ビッグマック指数などを経済の指標としているうちは、正しい経済活動を語ることができないと思います。

本来の経済指標としては、もっと家計の実際の動向やその食品の利用頻度や満足度などを考慮しなければならないでしょう。