日本のカレーが伝統料理で世界一

TasteAtlasが主催する“Best Traditional Dishes in the World”で、日本のカレーが堂々の1位になったとのこと。

カレーが日本の伝統料理になっていることに、伝統を形成するのに数百年は必要と思っている日本人には違和感があります。

ましてやカレーはインドだろう!

TasteAtlasのサイトを見てみると、1位になったのは確かに日本のカレーですが、最高のレストランとして札幌のスープカレーの店が紹介されていて、しかし掲載されている写真はどう見てもカツカレーです。

1位以外にも日本のカレーライスがランクインしていますので、日本のカレーが伝統料理で1位になったというより、記者が札幌の特定のレストランが提供するスープカレーを食べたら、世界一美味しいと思ったという程度に考えるのが妥当かもしれません。

ランキングの真剣さ度合いは、B級グルメコンテスト並みというところでしょうか。

その他には、大阪道頓堀の一蘭とんこつラーメンや大阪の法善寺横丁のカツ丼、松屋の牛丼もランクインしていますから、実際に海外に行って食堂を物色する時に参考にするには良い情報かもしれません。

法善寺横丁のカツ丼はかなりディープな感じがしますが、旅行で日本を訪れる人にとっては、観光名所で手軽に味わえる日本情緒ある食事と言えるかも知れません。

鼎泰豐(ディンタイフォン)の小籠包で上海の支店が紹介されていたり、エビフライで京都の「かつくら」が紹介されていたりするのも、料理そのもののオリジナルがどこにあるかというよりも、「旅行で訪れるならここで食べられるよ」といった感じでしょうか。

TasteAtlasは、英国ベースの旅行情報を提供している企業のようです。あまり美味しい料理がないと言われる英国が、せめて旅行では美味しいものを食べたいという執念を感じてしまいます。

だいたい美味しい料理が少ない国では他国の料理が普及するようですから、ロンドンにおいしい中華料理屋が多かったり、ブリュッセルの路地裏においしいイタリアンレストランがあったりするのかも知れません。

TasteAtlasのサイトには、このランキング以外にも料理のジャンルごとや世界の地域ごとのランキングも掲載されていて、何も日本のカレーだけが絶賛されている訳ではなく、イタリアのピザも堂々1位にランクインしています。

TasteAtlasの名前通り、海外旅行に行った時に近くに紹介されたレストランがあれば、試してみるとよいのではないでしょうか。

日本人が得意なサイズ

昔から「末は博士か大臣か」と申しまして、小さい頃には「何と聡明な子だ!」と思われていても、大きくなるに従い輝きを失い、「大人になったらただの人」になってしまうことはよくあることです。

同級生で小学校のときはあんなに賢かったのに、中学・高校と進むに連れて目立たなくなり、そのうち消息さえ分からないなんてこともざらにありまあす。もちろん小さいときから目立たないこともありますから、少しでも目立っていた時期があっただけ幸せかも知れません。

三菱重工が旅客機の開発を断念すると言うニュース。数年前に試験飛行を始めた頃は、戦後初めての本格的な飛行機の成功を確信していたものでした。

産業の空洞化が叫ばれていましたから、工業分野の裾野が広い航空機に対する期待も大きかったのです。

経済環境の変化やアメリカでの認可取得のトラブルなど、技術的な問題以外で足を引っ張った要因も多かったですが、必要な技術のサイズ感が日本には大きすぎたのかも知れません。

さっきの同級生の話に戻りますが、例えば小学校の勉強は得意だったけれども中学から急に難しく感じたとか、中学は簡単だったけれど高校で落ちこぼれたという人も多いかと思います。

人それぞれで得意な複雑さというのがあって、他の人よりパフォーマンスがよい範囲みたいなものがあるように感じます。

日本が技術立国だと思っていたのも、テレビやビデオ、半導体や自動車など、部品点数が飛行機より数桁低いものです。

飛行機の部品点数を設計・管理するためには、半導体や自動車の技術とは違う発想や仕組みが必要なのでしょう。

特にデジタル化によって電気製品の部品数は格段に少なくなっているので、日本が得意とする部品数より製品規模が小さくなってしまい、その程度のサイズを得意とする国々に覇権を取られています。

一方、自動車もEV化で部品点数が劇的に減少しており、これまでは自動車をシステムと捉えて全体最適化設計をしていたところが、モーター、バッテリー、サスペンション、ボディ等、それぞれの部品を最適化してしまえば、以前に比べてそれほどインテグレーションには技術はいらず、それらを組み合わせるだけで最高の車を作ることができるようになりつつあります。

日本人は品質に厳格だったから、高品質な製品が世界を席巻したのは30年前までの話。

すなわち、ここでも日本の得意とするサイズ感より小さくなっていて、今後もこの分野で世界の競争相手と伍して行くためには、これまで良しとされてきた品質管理方法や品質基準を数段緩和する方向に修正が必要になるのではないかと思います。