昔、同僚に知ったかぶりで有名な人がいました。
会社員をやっていると、年に何回かは会社の制度上の手続きで分からないことに直面することがあり、経験がありそうな周りの人に聞くことがありました。
そうした際にその知ったかぶりの同僚は、正しそうな答えを自信満々に言うものですから、特に急いでいるときはその答えに従って手続きをしてしまうのです。
ところが、正しそうな答えは間違っていることが多々ありますから、職場内で騒動に発展するわけです。
ある時、彼になぜ知ったかぶりして正しくない答えを言いふらすのか訪ねたことがありました。
すると彼いわく、社会人になった職場の先輩から、何を聞かれても「わかりません」だけは言うなと指導されたというのです。
彼の最初の職場が何の仕事だったかまでは覚えていませんが、わからないと安易に答えることを良しとせず、自分でできるだけ考えさせようという指導の一環だったのかもしれません。
しかし、そもそも彼が知ったかぶりだと分かっているのですから、聞いた答えを鵜呑みにした方も問題ですが、最近のAIのに対する評価に通ずるものがあるように思います。
これは天気予報にも似たようなことがあって、「明日の天気はわかりません」とは言いません。
ひどいときは、「明日は晴れのち曇り、ところによっては雨か雷雨があるでしょう」などと言われたときには、天気予報は無力です。
最近は予報の確度も同時に表示することもありますから、当たらなかったときも仕方がないと諦めやすいです。
しかし、天気なら晴れと曇りと雨ぐらいしかありませんが、AIに相談する時の回答は広範囲に及ぶでしょうから、全部の可能性を羅列するわけにも行きません。
AIに質問するときは知ったかぶりと会話していると、腹をくくることが必要なのでしょう。
