ABEMAの躍進

これまでも各種ネットテレビを見ていた人たちにとっては、特に変わりはないのでしょうが、ネットTVに馴染みがなかった私のような人には、ABEMAで全試合生中継というのは結構放送のあり方を変えるイベントのように感じます。

NHKも大金を払ってサッカーの放送権を買い取っているみたいですが、全試合生放送というABEMAの前には、いくら大金を注ぎ込んでも色あせてしまいます。

放送はBroadcastというぐらいですから、一斉に時間がないことが特徴でしたが、ネットワーク回線が太くなれば放送のメリットが無くなってしまいます。

更にはネットワークにはオンデマンドという特徴もありますから、放送の優位性は災害時に電波という送信設備以外には影響を受けにくい設備を使っているということぐらいになってしまいます。

日本対ドイツ戦の視聴率も、10%ぐらいはABEMAに持っていかれたということですが、法律や規制に守られた放送が、最大の危機を迎えたと行ってもよいでしょう。

それを今回のワールドカップというイベントで、これまで知らなかった人たちにも知れ渡ってしまったということでしょう。

最後はコンテンツの勝負ということになるでしょうが、テレビ放送がネットTVと共存できるのか、共存する意味があるのか、はたまた放送の存在意義がなくなって衰退してしまうのか、サッカー中継を見ていて放送業界の将来が不安になりました。

サッカーワールドカップの勝利に思う

今回のワールドカップは、日本でもそれほど盛り上がっているようには見えなかったのですが、ドイツとの一戦で一気に盛り上がったようです。

下馬評は散々でしたが、同じチームと監督がこれほどまでに見違えるようになったのには、驚きとともに普段の生活でも見習うことがありそうです。

古来、日本の文化には「静」を重んじる傾向があって、時間が経てばなんとかなる(「時は金なり」、「石の上にも三年」など)やじっくりと取り組むべし(「急いては事を仕損じる」、「急がば廻れ」など)といった教義が多かったように思います。

しかし、サッカーのようにじっくり構えているとあっという間に時間が過ぎてしまうようなスピード感のある競技の場合は、悠長に構えていることが正しいはずはありません。

今回のサッカーの試合では、これまでなら後半の最後の最後に選手交代をするようなことが多かったのに、後半早々から手を打って、その後も継続して修正を行ったことが勝利につながったと解説されています。

今回のワールドカップは、日本のサッカーが大きく変わる節目になるかもしれません。

これからも試合が続いて行くと、日本の戦術を見透かしたような手を出してくるチームも出てくるでしょうが、さらにその上を行く妙手を出して勝ち進んでもらいたいものです。

日本の企業経営も、事なかれ主義でゆっくり時間稼ぎの経営者が払拭されて、タイムリーで積極的な戦略によって世界の動きをリードできるようになってもらいたいものです。