ホンダと日産

昨年12月から協議が行われてきたホンダと日産の統合協議。

対等な統合から一転して日産がホンダの子会社になるという話に変わって、破談になりそうな気配です。

日産の関係者からしたら、対等ならご時世で仕方がないことと諦めることができても、子会社になりますと、しかもこれまで長年に渡って敵対していた会社の子会社ともなれば、ああそうですかとはならないのは当然でしょう。

ただ、一番問題なのは、利益を生み出す体質に改善する方法は限られていて、そのどれもが痛みを伴うものであるということです。

まさに「蜘蛛の糸」状態で、完全に沈む前になんとか逃げおうせたら良いと考えるのは当然です。いや、古い企業なら財務状態は悪そうに見えても、それほど危険ではないと思っている上層部の人もいるでしょう。

一方、別の企業のパナソニックでは、事業部ごとに別会社に分けることが検討されているというニュースが流れています。

EV用の電池事業で立て直そうとしていましたが、もうけ頭になる前に中国の競合他社が迫ってきて、事業が立ち上がる前に激流に飲み込まれようとしています。

家電のように国内の狭い市場で反映してきた企業にとって、世界市場を相手にするのは容易いことではありません。

そのうえ国内市場も低価格品を売りにするニトリやアイリスオーヤマに急き立てられていますから、もっと迅速に製品ごとの施策を実行できる体制に変えていくことは必須なのかもしれません。

今後、日本を代表した大企業にも、強者資本による買収が避けられないのかもしれません。

ホンダと日産の経営統合の勝算

少し前まで自動車産業は、我が国の産業の中で唯一の勝ち組と言われていました。その中でトヨタに次ぐ規模の2社が経営統合するというのですから、驚かないわけには参りません。

確かに日本の自動車メーカーの数が多いとは言われ続けていましたから、そのうちに統廃合の波が来ることは予想されていたでしょうし、トヨタと経営や技術面で提携しているメーカーもありますから、必ずしもメーカーの数だけで議論していては方向を見誤ってしまう可能性があります。

ホンダと日産は買う側からすると全く趣向が異なっていますが、社風自体も全く逆と言えるぐらい隔たりがあるそうです。全く違うからこそシナジー効果があるという意見もあるでしょうが、逆に諍いが永遠に続くこともあるでしょう。

以前銀行の統廃合が進んだときに、いつまでも旧何銀出身であるかこだわり続ける体質が抜けないという問題がありました。自動車業界でも同様のことがあることは容易に理解できます。

ただ、今は社風や趣向といったことを問うている余裕はなく、中国勢力に対抗したりEV化にどう取り組むかなど早急に方向性を出さねければならない問題がたくさんあります。

そして規模の効果をどこまで追求することができるか、単なる重複を削減するだけの経費節減にとどまらない、相乗効果のある施策を早く打ち出す必要があるでしょう。

ニュースでは、圧倒的にホンダが主導権を握って統合が進められるということですが、日産をホンダ色に染めることに専念すれば共倒れになるでしょう。

ホンダと日産のうまいところを高め合っていくことができるかどうかが、この統合の成否を分けるように思います。