メーカー指定価格の成否

パナソニックが商品の小売価格を、販売店ではなくメーカーが指定する取り組みを2020年から始めているらしいです。

安売り競争になると、メーカーだけでなく販売店も顧客も不幸になるという理屈らしいです。

これは白物家電に限らず、新型が出るたびに新機能で購買意欲を持たせて高い値段でも買いたくなるように仕向けるこれまでのやり方をやめて、一切値引きができなくしてモデル末期の値崩れを防ぐことができれば、無駄な機能を追加して新型を次々開発する必要がなくなるということらしいです。

顧客にとっても、新機能が追加され続けてかえって使いづらい製品になるより、必要なものが安定した価格で提供され続ける方がよいだろうということでしょう。

製品の長寿命化や販売店の無駄な競争によるストレスも緩和できるだろうということです。

これを聞いて思い出したのは、1980年代のUSの家電事情です。

当時、シアーズなどの白物家電を扱う店に行くと、当時の日本に比べて比較にならないぐらい安い冷蔵庫や洗濯機が並んでいました。

日本で言うところの10Kgぐらいの容量の洗濯機が3万円、同じ容量の乾燥機が1万5千円。冷蔵庫は水道管直結の自動製氷機付きで3万円ぐらいでした。

シアーズ以外にはそれほど大型家電を扱う店はなく、あったとしてもほぼ同じ値段でした。

給湯器に至っては1万5千円ぐらいで、製品ごとの機能に違いはなく店によっても値段は変わりません。いわゆる競争がない状態というのでしょうか? 確かに機能や価格で比較しても違いがなければ、どの製品をどのお店で買っても同じです。

パナソニックが目指す家電の売り方は、普遍的で最低の機能の機種をモデルチャンジせずに何十年も売り続けて、その間故障してもいつまでも部品が手に入り、必要ならば個人でも修理が可能な製品を作り続けることにほかなりません。

パナソニックはそんなことを目指しているのでしょうか? 

もっと昔に、まだパナソニックが家電のトップで、価格統制力を持っていた頃でさえダイエーの販売力に打ち勝てなかったのです。

いまや中国製の製品が溢れてきていて、価格を決めることができるとしたら最低価格で勝負できる中華メーカーしかありません。

もしパナソニックがまだ日本メーカーの優位性が残っていると信じて高価格を維持しようとしたら、大塚家具の二の舞いになるのは目に見えています。

それどころか、以前に比べて家電量販店に置けるパナソニックの存在が、薄くなってきているようにさえ感じます。

他の家電メーカーが次々と中国資本に乗っ取られています。

パナソニックの家電部門が、中国企業に切り売りされる日も近いのでしょうか?

清掃員の間違い

米国の大学で、夜間に清掃員が警報がなっている冷凍庫がうるさいのでブレーカーを切ってしまい、結果として冷凍庫に保存していた20年間に渡る研究試料が使えないものになってしまったらしいです。

温度が+/-3度以内に保持されていなければならず、2度上昇したところで警報が鳴り始めたらしいですが、修理が来るまでは大丈夫だろうと警報を鳴りっぱなしにして放置していたそうな。

清掃員はそんなことは知りませんから、警報を切ることだけを考えて無造作に電源を切ってしまったのでしょう。

清掃の方は、そこにどんなものがあって何に注意しなければならないかをそれほど真剣に考えないでしょうから、このような事件が起こるのが嫌なら、清掃は専門性を持った研究員が自らするしかなさそうです。

以前、職場に観葉植物が置いてあって、休日に園芸の業者の方が水を差しに来られていたのですが、ディスプレイにも水がかかっていて、中で火花が散って破損したことがありました。

大型のトリニトロンのブラウン管を使ったものだったので、4000V程度の高圧がかかっているところに水が掛かれば、火花だけで済んだのが幸いだったのかも知れません。

その後、観葉植物はプラスチックの造花に入れ替わり、同様のトラブルはなくなりましたが、最近はセキュリティの観点で部外者が立ち入ることは減っているのかも知れません。

休日や夜間に業者の方が出入りするときは、起こりそうなことはすべて起こるという前提で、徹底的な対策を講じる必要がありそうです。