解決するより誤魔化す時代

最近日本にはどうにも解決しがたい問題が山積しています。

とりあえず筋がある問題の場合は、あれやこれや試行錯誤をしているうちに本質的な解決につながる道が見えてくるわけですが、筋が悪い問題の場合、どうにもこうにもいつまで経っても解決らしい道が見えないまま右往左往することになります。

例えばマイナンバーカードやNHKの受信料問題のように、何度も何度も新聞を賑わしている割には一向に解決しない状態が続きます。

これらは本当に解決策を示そうとしているのではなくて、世間の反応を伺いながら解決策を繕っているに過ぎないことが多々あります。

おそらく、正当な解決方法が取れない理由は一部の既得権益者がいて、そもそもその問題自体がその既得権益者が原因だったりする訳です。

ですから、世間一般が考えるような解決方法は、社会から見れば妥当なものに見えても、彼らからすれば既得権益が侵食されるために受け入れ難いということなのでしょう。

正当な解決方法には、その既得権益者を滅ぼすことが前提になってしまうので、議論をそちらの方向に流れないように、あらゆる手段を使って存続の道を探るわけです。

ですから、本来なら短期間で解決できるものを、色々な手段を使って権益の存続のための誤魔化しのテクニックを駆使し、結果として国民は問題の本質を見失いがちになり、結論が見えないまま既得権益が保存されてしまうのです。

当然そのために失われる利便性は莫大なものとなり、時代遅れの既得権益を保存するための損失は多大なものになります。

そのようなことばかりしているから、日本の生産性が低いまま世界から取り残されてしまったと言えるでしょう。

世界に追いつく切り札になるべきマイナカードが、かえって社会のお荷物になりつつあるのは皮肉なことです。

日本の社会を良くしたいのなら、既得権益者をいったん解散して、新しい制度から過去のしがらみをなくすことが必要だと思います。

日本は祝日が多い

今日から盆休みが開けた人が多いのか、少し空いていた朝の電車が以前のように混み合うようになりました。

長い間日本人は欧米人と比較して、夏休みのバカンスが短いと言われて来ましたが、日本には日本の流儀がありますから、お盆休みは故郷に帰るという風情ある風習はそのまま残せばよいと思います。

一方海外の避暑地やビーチに出かける人も多いので、それはそれでバカンスらしくてよいでしょう。人の目を気にせずにやっとそれぞれの楽しみ方を選べるようにやっとなったということでしょうか?

さて、80年代に日本の輸出が絶好調なとき、米国は大変不況でした。失業率はもとより、企業の業績も特に自動車産業の落ち込みはひどく、街には閉鎖されたホテルチェーンの建物が点在していました。

米国の街を走る車はボロボロで、車体に穴が空いて車体を通して道路が見えている車も珍しくありませんでした。

当時、日本人は不当に働きすぎだと欧米諸国から不満が募っており、日本人を「エコノミックアニマル」と呼んでいたのは記憶に新しいところです。

エコノミックは仕方がないとしても、アニマル呼ばわりされてよく日本人は怒らなかったものです。

その働きすぎとレッテルを貼られた代償に、米国からの圧力で日本の祝日がどんどん増やされて、そのおかげかどうか分かりませんが、日本人の生産性はどんどん低下して、現在の経済の不調の一因になっていると言えましょう。

企業によっては祝日を返上して出勤したり、そもそも有給休暇の取得率が低かったりして、実際の日本人の休日数は相変わらず少ないかもしれません。

最近の経済力の低下は、単に働き方の問題なのか、昔より裕福になってあくせく働く必要が何くなったのか分かりませんが、少子化や女性の社会進出と合わせて考えていく必要があるでしょう。

コロナ禍が落ち着いた途端に、在宅勤務が低調になっているそうですから、働き方を少しでも変えるというのは容易いことではなさそうです。

お盆休みが終わって、人は残暑に耐えながらまた職場に向かうのでした。

日本の社会とデジタル化

まあなんと言ったって日本は「わび・さび」の世界ですから、デジタル化とは相性が悪いです。

これは仕方がありません。そういう文化ですから。

マイナンバーカードの失敗は、その日本に何の前準備もせずにデジタル化しようとしたところにあります。

考えてみれば、カシオがデジタル時計で一世を風靡した頃、つまり山口百恵さんが「デジタルゥはカシオ!」というテレビCMを大量に流していた70年代から80年代にかけて、日本人のほとんどは「デジタルって何?」という感じでしたから、それからかれこれ日本人がデジタルを理解するのに40年ぐらいかかったことになります。

いや、日本人がデジタル時計に慣れただけで、デジタルを理解したとは言えないかもしれません。(おそらく言えないでしょう。)

そもそもデジタルの対向にあるのがアナログですが、アナログを理解しているかというとそうでもありません。デジタルと比較してなんとなくアナログだなあという程度の区別はできても、アナログそのものを明確に説明できる人は、理工系専門の人でもそれほどいないでしょう。

ですから、まず日本が世界各国からデジタル化が遅れているというのが、本当にそうなのかを検証するところから始めるべきだったように思います。

デジタルを理解しない政府要人が、訪問する各国で吹聴されるデジタル化の状況を見て、「こりゃ日本は遅れておるわい!」と感じたとしても、本当にその国々で行われているのは真のデジタル化か、単に見せ方の違いだけなのかを討論する必要があったのではないでしょうか?

その上で、政府や地方自治体の業務を効率化する目標を立て、それに向けて現状どこに問題があって、デジタル化をすることによってどの程度作業が効率的になるかを分析しなければならないでしょう。

それなりの規模の専門家を集めて、1~2年検討しなければまともなものはできないと思います。

今だに80年代のQC活動のようなPDCAが取り上げられることがありますが、まず計画(Plan)がなければ始まりません。

一体どういう筋書きで、どういう成果を上げればマイナカードは成功なのか?

ひょっとして政府は、成功か失敗か判断する基準さえ持たないまま突き進んでいませんか?

マンション価格の高騰とダブルローン

ここ15年ほどで新築マンション価格が4600万円から6300万円に上っていて、さらに一部のタワーマンションなどでは天井知らずの高額物件が分譲されていて、一体誰が買うのかと疑問を投げかけるニュースがInfoseek Newsに掲載されています。

数十億円にも及ぶ高額物件については、どうせ中国の金持ちが買っているのだろうと予測できますが、6300万円のマンションの購入層の方が気になります。

40年ぐらい前の庶民が購入するマンションは、せいぜい2000万円から3000万円ぐらいで、銀行ローンを1500万円ぐらい借りて、残りは頭金として現金を用意するというのが普通でした。

普通というのは、その程度の資金計画でないと、その後のローン返済が滞る可能性が高くなるためで、頭金を貯めるまでは賃貸で我慢するというのが当時の住宅購入事情でした。

ところが、昭和の後期ぐらいから、マンション購入時に親が無税で贈与することを推奨するようになり、同時に頭金に現金を用意することが廃れていき、全て親からの贈与とローンだけで購入するケースが増えていきました。

そのうちに親が段々と子世帯のマンション購入を援助する余力がなくなって来る頃には、女性の社会進出が本格化して、結婚するときも男女同じぐらいの稼ぎがある世帯が増えていきます。

そうなると、今度はローンを2人分借りることができるようになり、ローンの限度額も知らぬ間に3000万円程度に増額されていて、合計6000万円がローンだけで賄えるようになってしまいます。

それに少しばかりの手付金程度で買える金額が、マンションの相場になってしまっているのです。

そこにはマンションの商品価値や、土地の不動産価値の計算はないく、ただ単に購入層が出せる金額の最高額が6000万円超だということが、新築マンション価格決定の要因になっています。

建築コストや社会インフラコストを積み上げた意味のある金額ではなく、単にマンションデベロッパーが想定した購入者が用意できる最大の金額に設定されているように思えるのです。

ですから、購入者がその後転職して給与が下がったり、リストラされたり離婚したり、ローンの支払が少しでも厳しくなった途端に破綻します。

マンションを売ろうとしても、最初のマンション価格が資産の価値から計算されたものではありませんから、中古住宅市場での評価は期待より大幅に下回ることが多く、ローンがあっても負債、売っても負債、どっちに転んでも残るのは借金だけです。

それはそうでしょう、ローンで借りて買ったとしても、ローン金額以下の価値しかないものだったら、買った瞬間に借金しか残らないのは当然です。

人口が減っているのに、都市部ではどんどん新築マンションが供給されています。

本当にその金額に見合う価値があるかどうか、見極める力がなければなりません。

転職サイト登録は必須アイテム

最近の若者は、就職したらすぐに転職サイトに登録をしていると言うニュース。

新しい職場に何が何でもしがみつくより何か不満があったら次を探すという、昔の日本なら「石の上にも三年」なんて言われたものですが、最近の合理的な考え方によって一生同じ会社にお世話になるなんて考えはないのでしょう。

そもそも会社にお世話になるという考えが古いか!

どうりでテレビでやたらと転職エージェントのCMが流れるわけです。

大量のCMを流す企業は、どうもそのうち社会問題を起こすことが多い傾向があって、スポーツジムや脱毛サロンなどの広告が異常に多いと思っていたら、どこかで何らかの消費者問題が発覚したりすることがあります。

転職エージェントも今は良くても、近いうちにダークな業者が混じってくる可能性があります。儲かるところに悪い業者が群がって来るのが世の常ですから、業界の標準などを早いうちに整備して、不法な業者が入り込むのを未然に防いでもらいたいものです。

ただ、転職市場が活発になるということは、必要な人材が必要な業界に供給されやすくなるはずですから、日本人の生産性を高めることが期待できるのではないでしょうか?

もちろん転職のすべてが良い転職であるとは限りませんが、以前のように我慢して同じ企業で一生を終えることは少なくなるでしょう。

まあ、逃げ道を常に用意して置くということで、かえって今の仕事に集中できないという弊害もありそうですし、常に不満を持ちやすい人なら転職を何度も繰り返して、いつまで経っても専門的な経験を積む事ができないこともありそうです。

転職をして成功する人と失敗する人がいますから、転職エージェントは親身にクライアントの希望や適性をプロとして判断して、身のある転職を提供していただきたいものです。