ふるさと納税の赤字

前回に引き続いてふるさと納税の話題です。

全国の自治体の25%が、ふるさと納税によって従来の住民税収入と比較して赤字になっているとのこと。

東京23区と指定市以外で赤字額が多かったのが、兵庫県西宮市、千葉県市川市、大阪府豊中市の順だったそうですから、人口が多い割には他の住民がふるさと納税したいような産物がない都市で赤字が膨らんでいるようです。

そもそもふるさと納税と言っておきながら、まったく故郷に関係なく好きな自治体に納税できるという全くもって意味がわからない制度ですから、人気がある返礼品を用意できるところと、そのような返礼品がないところで差が出るのは当然です。

その人の住民票が置かれたことがある地方自治体だけに寄付できるようにするのが、育った地域への還元の意味にふさわしいのでしょう。しかし、今の制度は納税というより寄付に近く、しかも返礼品目当てにまったく縁もゆかりもない地方に納税するという、よくわからない制度になっています。

結局儲かるのは、ふるさと納税のシステムを提供している企業だけといういつものパターン。

ただ、地方から都会に出た人が、出身地に恩返しするために納税するというのも、納税の趣旨からすると少し違うような気がします。

やはり、地方に移住したくなるような魅力的なまちづくりを、計画的に行っていくことが必要なのでしょうか?

正社員と非正規雇用労働者

あえて厚生労働省の表現を使って「非正規雇用労働者」と書いてみましたが、通称「非正規」、つまり有期雇用、パート雇用、派遣労働の総称として、ここでは「非正規」と表記します。

正社員と非正規のどちらが良いか?

労働者が分からみて正社員が良いのなら、経営者から見れば非正規の方が良くなる。だから、労働者は正社員になりたがって、経営者は正社員を切って非正規を雇いたがる。

正社員は福利厚生や退職金(福利厚生に含まれるが)があるために、安定していて定年後も安泰と思われていますが、それは優秀な人材を簡単に雇えない時代の話。

各企業では新しい技術がどんどん開発されていて、それに長ける人材は自社で教育しなければならなかった時代は過ぎ去って、今はスキルが陳腐化(恒久化)しています。

さらに大企業が必死で身を削るものですから、スキルフルな人材がそこら中に溢れています。

それならば、何も経験がない新人を教育して定年まで雇い続けるより、必要な業務に必要なスキルを携えた人材を臨機応変に雇い入れることは至極当然のことであります。

もし、正社員が一生定年まで就業を保証するものであるのなら、まったく時代錯誤の労働形態になってしまったと言えるでしょう。

ですからこれから日本の社会が目指すべきは、(当人的には)安定した正社員を増やすことではなく、必要なスキルを必要なときに供給する非正規だけで回していける体制ではないでしょうか?

本当の経営層だけが一生忠誠を誓う正社員であり、実務レベルはすべて非正規というのが正しい姿でしょう。

そうなれば同一労働同一賃金が実現できますし、生涯教育の必要性も当然になるでしょう。労働生産性も自ずと向上することでしょう。

さて問題は、この方針が企業経営者の短期的なコストカットの目的だけに使われないようにすることです。

政府が必要な施策をタイムリーに繰り出すことによって、日本に活力をもう一度取り戻したいものです。