健康保険の高額療養費制度と外国人

日本の健康保険の高額療養費制度を狙って、医療目的のために日本に3ヶ月以上滞在して高額な医療を享受しようとする外国人がいるとかいないとか。

それは制度がそうなっているのですから、そこが狙われても仕方がありません。

日本の健康保険制度に支障が出るかと言えば、出ないわけはないでしょう。目に見えるほど出るかどうかは分かりませんが。

そもそも海外では医療は目玉が飛び出るほど高いことが多く、特に先進医療が発達している国ではすぐに億単位の金額になることが珍しくありません。

アメリカの医療が高いのは特に有名で、アラブの金持ちが自家用機で地方の飛行場に乗り付けて高度医療に特化した病院で治療を受けるために、その小さな空港が国際空港になっているという話もあります。

ただでさえ健康保険財政は逼迫していますから、高額療養を目的としたたった3ヶ月の滞在で大金を使われたら需給バランスが崩れるのは目に見えています。

これは明らかに制度が悪いです。

2022年度に支払われた高額療養費のうち、外国人には111億円(1.15%)しか支払われていないということですが、全体の割合の問題ではなく、3ヶ月という短期間で社会保障制度から大金をせしめることができるという制度は直ちに是正すべきでしょう。

せめて永住権取得者に限るとか、その後日本での滞在期間が数年に及んだ後に返還するとか、やり方はいくらでもありそうです。

1%程度だから大きな問題ではないと言う専門家がいるみたいですが、これは「上水道や下水道の漏れ」と同じであってはならないものです。

一刻も早く国会で真剣に討論して、世界から舐められない制度に変えてもらいたいものです。

人手不足ではなくて人材不足をどう解決するか?

「バスの運転手が足りないためにバス路線が廃止になる。」

最近良くニュースになりますが、その路線を利用する人以外はあまり関心を持つことはありません。

とっくの昔から地方の過疎化によって同じ話は何度も聞かされてきましたから、確かに珍しい話ではないです。

しかし、これを人手不足が原因だと思っていたら大きな間違いです。

路線バスを利用するとその運転手の多能ぶりに感心することがあります。

乗客への案内に料金精算、発車や停止の度にアナウンスしつつ、周囲の交通にも注意を払って安全運転。ただの経験やベテランだからできるというものではなく、その人に能力がなければできないことです。私なんかとてもできそうもありません。

これだけのスキルがなければできない仕事ですから、それなりの給与が与えられているべきですが、それがそうでないところに社会の歪があるわけです。

給与が高度な仕事に見合っていません。

下手をすれば成上りのコンサル頼みの社長よりも、バス運転手の方がよほど能力が必要でしょう。しかし給与は数分の1、下手をすれば数十分の1かもしれません。

よく企業で能力給を採用しただなんて話がありますが、本当に能力を判断できているでしょうか?

社長を含めて従業員の能力を、適正に判断する方法論が完成したなどという話は一向に聞いたことがありません。それは聞かないはずで、そんなものはないからです。

それを現実的に証明しているのが、人手不足、いや人材不足なのです。

適切なスキルに適切な給与が支払われていないのです

例えば地方自治体の首長や国会議員などは名誉職なのですから、無給でもやろう、やりたいという優秀な人材は今の日本ならたくさんいることでしょう。

大学の名誉教授はそれなりの実績を上げてきた人が勤めますが、基本的に名誉職で無給です。それでも任命されることは名誉ですから、ここに人手不足、人材不足は起こりません。

「人材不足」という社会問題は、「所得の2極化」という社会問題が本当の原因ではないでしょうか?

バス路線が廃止されて日本に張り巡らされた交通網が穴だらけになる前に、根本原因を究明する必要があると思います。

災害をハイテクでサポートできるか?

日本に住んでいて、日本は安全な国だと思っている方が大半だと思います。

しかし治安はともかく、災害に関するリスクは世界の中でも結構高いようです。

そこで災害を想定した避難訓練が各地で実施されているのですが、その中で最近流行のスマホとAIを使った避難ナビゲーションなるものが注目されています。

最近ニュースで見たのですが、デジタル放送中のテレビ画面に災害状況が表示され、地域ごとにアレンジされた適切な避難場所が指示されるらしいです。

またリアルタイムな避難指示がスマホやタブレットから出されるので、それを見ながら指定された避難場所に家族が集まるという仕組みです。

確かに阪神大震災のときに、被災した家屋にいた家族がどこの避難所にいるのか、近所の人に教えてもらって避難所になっていた幼稚園で再開できたという話を聞いていますから、災害後に家族が居場所を探すときに、何らかのシステムで情報が共有できれば良いのは確かです。

しかし、家でテレビを視聴していて、災害時にテレビ放送が継続して電気も止まらない想定では、そもそも避難する必要がないかもしれません。

電気やガスのインフラや、通信網が十分使える状態を想定した避難訓練もある程度意味があるのかもしれませんが、少なくとも阪神大震災のときにはせいぜいラジオしか情報を得る手段がなかったのですから、携帯電波が機能する前提の非常時システムは意味をなさない可能性が高いのではないでしょうか?

確かに近年は通信網の整備やスマホの進歩にゆだねられる事が多いので、何か新しいことを考えようとすると、どうしてもスマホや携帯電波網に頼らざるを得ないのかもしれません。

しかし、災害時に一番障害になるのはインフラの崩壊です。

電気、ガス、水道がない状態で如何に生活を続けることができるかを考えなければ、いつものように何でもスマホが答えを出してくれると考えてはいけません。

できるだけ原始的で、乾電池数本で可能な程度のローテクで構築することが、災害時のシステムに求められているのではないでしょうか?

関税戦争

トランプ大統領が就任後、真っ先に始めるであろうと予想された関税の実施が延期されました。

実施前から世界中の株価が乱高下する様は、まさにトランプ旋風(騒動)です。

合成麻薬の問題は確かに早急に解決しなければならないでしょうが、その解決手法として関税をかけるとは、網が大きすぎて引っかかるものがたくさんありすぎたということでしょう。

しかし、やるといえばすぐに実施に移すあたりは、日本の政治家にも見習ってほしい部分ではあります。

USが関税を操作すると世界中が右往左往します。日本も影響が大きい国の一つでしょう。また例えば中国にUSが関税をかけると余剰品が日本に溢れてしまって、直接関税が書けられなくても多大な影響を受けることになります。

以前はUSのくしゃみで日本が寝込むと言われましたが、今ほど経済のグルーバル化が進んでしまうと、一国の施策が世界中に深刻な影響を及ぼしてしまいます。

経済学者が解説をしても、本当にUSの関税の影響を予測できるのか疑問です。これは世界的な規模での経済実験であり、やってみないと何が起こるのか分からないでしょう。

まだ大統領就任から1ヶ月経つか立たない間で、これほどのインパクトが有る施策が飛び出るのですから、これからの4年間はさぞ目まぐるしく変化する時代になるのでしょう。

知らぬ間に何かを踏み外して、変な方向に各国が一斉に向かってしまうことがないように、警戒する必要がありそうです。

大課長問題

朝日新聞に1月23日に掲載されていた「大課長問題」

課長以上のポジッションに抜擢されても、これまでの課長レベルの細かい指示しか出せない管理職が問題になっているそうです。

10年ほど前から問題視されているそうですが、考えてみればかなり以前からどこの組織にも該当する管理職はたくさんいたような気がします。そりゃ40年も前にもいたような気がします。

ただ、それを問題視するほど世間に人事管理についての理解がなかっただけです。

人事制度は偉い人は出世して給与が上がるという簡単な流れだけしかなく、実際にどのような職務がポジッションごとにあるのかを具体的に示せている職場は殆ど無いでしょう。

ですから、出世するようなそこそこできる人ならば、自分の周りを見回して必要な業務を察するのですが、それができないレベルの人が下手に出世すると、こちょこちょと忙しく末端の業務に口を出すことが管理職の仕事だと決め込むのでしょう。

最近、よく不祥事で社長や責任者の会見が行われることがありますが、ここにも大課長かと思うような社長が登場することが珍しくありません。

平社員から叩き上げの社長によくあるタイプで、いわゆるプロの経営者(これもかなり怪しい部族ですが)とは一線を画していて、ほとんど平課長かと見紛うような会見を見ると、不祥事による事態の重大さを理解できていないのだなと勘ぐってしまいます。

これは何も企業だけに限ったことではなく、政治家や公務員でも同じような状況ではないかと思います。

いわゆる帝王学というか、マネージメント学は日本では教わることはなく、そもそもそのような概念すらないのかもしれません。

一部の一代で企業を築いた社長ではそのようなことにはならないでしょうが、サラリーマンの場合はそれが社長であっても部長であっても、それほど立場にふさわしい人材で溢れていることはないでしょう。いわゆる「人手不足」ではなく「人材不足」。

もちろん社長になれば社長の顔になってくるとは言いますから、立場が人材を作ることも確かですが、それなりに時間もかかりますから、短期的な株価や利益を目指す現代の経営に置いては、経営者が育ちにくくなっているのかもしれません。

もし大課長があなたの上にもいるのなら、その方を育てられるのは部下のあなただけなのかもしれません。