医療記録の閲覧とマイナカード

マイナカードに記憶された過去の医療記録を、どこまで医療関係者に見られるか?

皆さん、マイナカードにどんな情報が記録されていて、どこまで他人に見られるか理解しているでしょうか?

残念ながら私は知りません。公開されているマイナカードの規格から、どのような情報がどれだけの期間残っていて、誰がどのようにして閲覧できるのか、まったく理解しておりません。

政府は、マイナカードのスペックと運用方法を、国民に分かりやすい方法で公開していますか?

改正個人情報保護法の施行によって、これまで以上に個人情報の利用と管理に制限がかかっています。

個人情報保護法は、国際的な流れに日本が遅れを取らないように海外の法規を真似しているように思われ、国内の議論だけを見ていても個人情報の守らなければならない範囲を理解することはできません。

特に生命科学分野における個人情報には、利用に制限がかかっていますから、容易に読み出すことはできないようにするべきです。

ところが、朝日新聞デジタルのニュースによりますと、本人の同意があればすべての情報をマイナカードから読み出すことが、現行の仕組みではできてしまうと指摘されています。

そもそも医療情報は、レントゲン写真にしてもCTスキャンのデータにしても、他の医療機関で作成したものあまり利用されることはなく、当該の医療機関で再度やり直すことが多いように思います。

検査装置の稼働率を高めるためなのか、2重に検査費用がかかるため検査データの持ち出しを推奨しているのは健康保険組合だけで、実際は医療機関は収入が増える方法を選びます。

ですから、マイナカードにいくら貴重な過去の医療情報が蓄えられていたとしても、有効に利用されることはほとんどないでしょう。

しかも、現在の治療にまったく関係がない情報が大量にマイナカードに蓄えられているとしたら、個人情報の保護の観点からも重大な欠陥を持った制度だと言えるでしょう。

マイナカードは、日本のデジタル化が世界に追いついていないという理由だけで、まったく素人の政治家が性急に事を進めて、まったく役に立たないシステムをでっちあげようとしています。

日本には、すでにまともなシステムを構築する事ができる人材が、消え失せてしまったのでしょうか?

マイナカードにどのような情報を管理されているかも知らずに、ポイントにつられてせっせとマイナカードを取得する国民のバカさ加減も尋常ではありませんが、政府の対応もそれに合わせたかのようにお粗末です。

マイナカードの不手際でごたごたし続ける状況を見ていると、数年後にデジタル化でさらに世界から引き離された日本の姿を想像するのは難くないでしょう。

出生率と社会負担率

少子化が社会問題となって久しいですが、その間原因についていろいろ検討されてきました。

女性の高学歴化による社会進出で結婚年齢が上がり成婚率が下がったためだとか、正規雇用者が減ったとか、子どもが生まれても保育施設が足りないために安心して子どもを産めないとか。

確かにそれぞれ関連はありそうで、それらを解決すれば少子化の対策になりそうな気はしますが、どうも少し違うような気もします。

東洋経済オンラインの記事で、社会負担率の上昇が一番根本的な原因ではないかと問いかけています。

見た目の給与が上がっても、社会負担がそれ以上に増えれば実質可処分所得は少なくなりますし、正規雇用だからといって社会保険料が天引きされ、必ずしも十分な給与を得ているとは限らないようです。

特に最近は共稼ぎが標準になってきており、2人の稼ぎを合わせて生活できればよいという風潮になっています。

先日、マンション価格が2人分のローンを借りることを前提に価格を決めているのではないかと書きましたが、子どもを養う以前に生活自体がギリギリになってきています。

ところで、一般的に社会生活を改善するためには、生産性を上げることを目指します。生産現場は言うまでもなく、管理部門でも生産性の向上は企業では必須です。

しかし、政府や地方自治体ではどうでしょうか?

デジタル化を進めると豪語してみたものの、マイナンバーカードでの非効率な作業はどう見ても生産性が上がっているとは思えず、マイナンバーカードが便利になると宣伝はしたものの、マイナポイントで国民を釣るしか普及の方法がないというのは、便利になるということがまやかしでしかないことを物語っています。

おそらく感覚では、政府と地方自治体の業務の8割方は削減できるのではないでしょうか?

社会負担率が5割に迫り、「サラリーマン一揆」が起こっても不思議ではないレベルに達しようとしている現在、社会負担率を5割から4割、いや3割に抑えるための生産性の改善を、政府が約束する必要があるのではないでしょうか?

まずは、政府と地方自治体の生産性を計る尺度を設けるところから始めてはいかがでしょうか?