飽きられる観光資源

中国からの団体旅行が解禁されて、インバウンドが最盛期と同じぐらい増えることが一部の業界では期待されていますが、一方でオーバーツーリズムによる生活への影響が心配されています。

オーバーツーリズムは、観光客で儲かる人とただ単に迷惑を被る人が別だから問題になるわけで、儲かっていれば多少の不自由は我慢できるでしょうし、何のメリットもない人はただ生活が不便になるだけでおもしろいことは何もありません。

だいぶ昔のことになりますが、海外から京都に来ていた御婦人に、京都には寺と神社以外に見るものはないのかと聞かれたことがありました。

どこに行っても同じような寺と神社ばかりで、まともな博物館や美術館、動物園などがないことを憂いていました。

そもそも京都の神社仏閣は、観光客のために作られたわけではありませんから、その配置や観光としての利便性が考えられていません。

ディズニーランドのように、初めから人の流れや所要時間、待ち行列の施し方など、設計して作り込まれたものとは違いますから、海外から来て観光するのには、興味を持って効率よく回ることを工夫しなければ、疲れるばかりで退屈な旅行になる可能性があります。

ところで、最近は東京や京都などの都会ではなく、地方都市や自然の風景を楽しもうとする海外旅行客が増えているそうです。

それだけ日本の観光資源が豊富であると捉えることもできますが、逆に都会の観光資源はすでに飽きられている可能性もあります。

旅行が異文化や未経験なことに触れるのが目的だとしたら、日本の都会の景色はそれほど世界の他の都市と変わるものでもなく、日本の伝統が息づく地方の方が異文化を感じやすいのかもしれません。

京都の寺や神社も、海外にもっと深く理解してもらえるよう文化や伝統を深く印象づけるような志向を凝らさなければ、海外旅行の興味の対象として選ばれなくなる可能性があるでしょう。

インバウンドで経済が潤うのを喜ぶだけでなく、日本の観光資源を磨き続ける努力が必要なのかもしれません。

在宅勤務は定着しなかった?

マイナビニュースに、コロナ禍で定着したかのように見えたテレワークが、最近の調査では22.2%まで減少してしまい、コロナ禍以前のレベルに近づいて来たというニュースが掲載されています。

様々な勤務形態の3万人以上のコロナ禍前後のテレワーク率を比較したそうです。

外出の制限からテレワークが始まった2020年3月は13.2%のテレワーク率で、2020年4月以降25%を下回らなかったが、2023年7月は22.2%に下がったということです。

下がったと言っても22.2%とコロナ禍以前に比べると高いですが、今後徐々に下がっていくことが予想されます。

従業員規模で分けた統計も出ていましたが、大企業が40%前後の実施率であっても、小規模の企業の場合は再考でも15%程度とかなりの隔たりがあります。

またテレワークの実施とは何を指しているかというのも曖昧で、どこまでこのアンケートの結果が正しいのか分かりませんが、電車に乗っている感覚からするとそれなりに正しい雰囲気はあります。

全業務時間の5分の1がテレワークで行われていると解釈すると、かなり利用されていると考えられます。

業務の寄って在宅勤務で問題がなかったり、かえって効率が上がるものもあるでしょうが、共同作業が多い場合やコミュニケーションや討論が主体の業務なら、テレワークが向いていないことがはっきりしたのかもしれません。

企業の中には慌てて本社の規模を半分にしたところや、従業員でも郊外にマンションを購入したりした人もいて、社会が大きく変わる期待もありましたが、それほど極端な社会変化は起こらなかったということでしょうか?

本当は。テレワークが拡大した機会に社内手続きの簡略化や印鑑の廃止などを行えば、コロナ禍によって経費削減や業務の効率化が同時に行えたのでしょう。

そのような「災い転じて福となす」ことを実践できた企業はどれぐらいあるでしょうか?