少ない年金対策で繰り下げ受給しろってか?

よく新聞などに「年金が少なくて生活費が足りないのだけど、何か対策はない?」という質問に対して、ファイナンスプランナーが「年金を切り下げ受給すれば年金額が増額されるので、生活費が楽になりますよ」とまことしやかに解説する記事を見かけます。

現在は通常の支給は65歳からですが、もし65歳以降に受け取りを開始する場合、年金額が受給を送らせた期間に応じて増額されて、しかもその増額は一生続くを言うものです。

年金額が増額されれば生活が楽になるとしても、そもそも生活費に苦労する人が年金受給を遅らせる程余裕があるのでしょうか?

もし定年までしっかりと働けていたとしても未だに60歳定年の企業も多く、65歳からの年金支給でさえも5年間の貯蓄を切り崩さなければなりません。運良く65歳まで働けたとしても、65再以降に繰り下げた期間は貯蓄を頼らなければなりません。

生活費が苦しい人に受給を繰り下げて年金の増額を促すというのは、「パンがないならケーキでも」と同じです。

年金に関しては未だに怪しい理屈がまかり通っていて、老後資金2000万円問題から何ら解決に向かっていないばかりか、年金が不足するなら退職金を貯蓄に回せと、これまた怪しい金融商品を勧誘する始末です。

このまま行けば老人生活保護者で溢れかえるのではないでしょうか?

フィナンシャルプランナーの皆さんにはちゃんと頭を使って考えた、少しまともな解決策を提案してもらいたいものです。

新卒採用と転職の矛盾

毎年4月になると通勤電車に真新しいスーツを着た、如何にも新入社員と見受けられる若い人たちを多く見かけるようになります。希望を胸に新しい環境に挑戦する雰囲気を感じられる、新しい年度を迎えるにふさわしい風景と言えるでしょう。

しかし、一方で新卒採用者の転職が問題視されるようになってきました。

企業としては定年まで働くことはさすがに期待していないとは言え、新人教育の成果の見返りがないうちに辞められてしまうと、採用や給与で投資した結果が出ないまま持ち出しになってしまいます。

最近は仕事がゆるいホワイト企業はスキルがつかないから敬遠されて、新人の間多少厳しくてもスキルを付けることができる企業が人気だそうです。

そして転職に見合うスキルが付いたところで、更に良い境遇を目指して転職するということが起こっています。踏み台にされた企業にとってたまったものではありません。

合法であれば許されるとは言え就職や転職の慣例というものがありますから、これまでの制度では対応できない状況になっているということでしょう。

すなわち、教育をしないと結果を出せない新入社員に最初から給与を出すことに矛盾がありますし、そもそも高い授業料を取って社会に役に立たない学生を教育していると思いこんでいる、大学を始めとする教育機関にも問題があります。

今後これまで以上に転職によって人材の流動性を確保する必要があるのなら、給与を抑えた試用期間を2~3年に伸ばすとか、インターンをもっと積極的に活用して、学生時に1年とか2年間、業務教育を含めて適性をお互いに確認し合う時間を設けるなどの改革が必要でしょう。

日本が長い間踏襲した終身雇用制はいろいろなバランスを保って成り立った制度でしたから、転職は自由だからといってそのまま受け入れていれば、どこかで破綻を来すのは目に見えています。

昔の大工や寿司屋の見習いが、まさにスキルを身につけて転職を繰り返す社会だったわけで、今の日本の企業はまだまだ終身雇用制度から抜けきっていないのでしょう。

産学が連携して将来を見据えたスキルを教育し、自信を持って就職できる社会を目指してもらいたいものです。

株価4万円超えでにわか投資家急増!

バブル期を超える株価に湧く市場ですが、それを見てにわかに投資を始める輩が増えているとか。

小学校にも投資の授業を導入して、国民総博打打ち化が始まろうとしています。

まあ確かに、社会の勉強として化石みたいな歴史を丸暗記させるより、より生きた社会活動である投資を教えることの方がより現実的で役に立つでしょう。

しかし、小学校での情報教育でさえ教員の育成もままならず、未だに成果を上げているようには思えませんから、投資を教育すると言っても無類なことは目に見えています。

情報教育は、失敗してもプログラムやシステムに弱い子が育つだけですから、それほど致命的ではありませんが、投資は失敗すると容易に生活保護者に陥落しますから、国を没落させるには一番近道かもしれません。

よく「貯蓄より投資の方が利回りがよい」と言われますが、それは儲かっている人だけの平均を取っているからであり、損をした人も合計したら証券会社の手数料分だけ赤字になるのですから、宝くじや競馬と何ら変わるものではありません。

損をした人の犠牲の上に成り立っている投資が、教育の科目として成り立つのでしょうか?

人のために役立つことをやってその見返りに報酬を得るというスキルを付けるのが教育だとしたら、人の失敗に乗じてその金品を巻き上げる投資という行為は、果たして教育に値するものなのでしょうか?

もちろん、どのような教科書で、どのような人が、どのように教えるのかによって、このような心配は杞憂に過ぎないのかもしれません。

しかし、教育改革で成果がないまま何十年も弄り回した教育現場を、ただいたずらに混乱させるだけでなく、意味のないさまざまな政策で病弊した経済活動の、息の根を止める事になってしまうのではないかと心配せずにはおれません。

外国人の確定申告

確定申告の時期になって、新聞などのニュースでも税金の相談窓口の風景がよく出てくるようになりました。

2003年ぐらいから始まった「確定申告書作成コーナー」も、当初はボロボロのシステムでしたが、年を追うごとに改善されてきて、最近では申し分のない機能を提供できるようになりました。

e-Taxと名前も変わって、今後は電子申請を標準化しようという動きが見られますが、ここで一つ疑問があります。

「外国人はこのシステムを使うと楽に申請ができるのか?」と。

これほど国税庁が威信をかけて作り上げたシステムで、もう20年以上も稼働しているのですから、多言語対応はかなり進んでいるものと期待して調べてみると、英語や中国語版のマニュアルらしい資料はあるのですが、システム本体は日本語のみのようです。

日本の居住している外国人からもれなく税を徴収しようと言うのに、相変わらずお粗末な状況と言わざるを得ません。英語と中国語、韓国語あたりはとっくにサポートされているべきでしょう。

その英語版のマニュアルには、日本語のe-Taxの画面コピーがあって「このボタンを押せ」と英語で使い方を書いているのですが、そのボタンには日本語の「作成」と書かれていて、それを「絵」として適切に区別して押せと強制するのは、少し無理があるのではないでしょうか?

せめてボタンに番号かアルファベットの記号でも振って、それを示す程度の配慮は早急に必要でしょう。

最近は電車の駅に番号が振られていて、そもそも外国人が駅名を区別できない前提になっています。もし外国人に積極的に税を払って欲しいのなら、今すぐにでも対応しなければならないと思います。

国際化は放っておいても始まりません。払いたくなるような優秀なシステムを期待します。

LINEの情報漏洩

LINEからまた従業員の情報が漏れたとのニュース。

誰もがすでに諦めていることかもしれませんが、LINEというシステム自体の信頼性の向上が見込めないことは感づいているでしょう。いくら問題が発覚するたびに、これからは外部から監視しますといったところで体質が変化するとは思えません。

コロナ禍で在宅勤務が広まり始めた頃、電話会議システムのZOOMでセキュリティ上の問題があったとき、それ以外の同様のシステムがここぞとばかり攻勢をかけてきて、既存のZOOMのシェアを奪い合ったことがありました。

結果としてZOOMもその後大きな問題を起こすこともなく、TemasやらMeetsやらSlackなどのシステムの共存してシェアを分かち合っているようです。

一方のLINEは、幾多のトラブルが発覚しながら余り改善されている兆しがなく、通常ならとっくに世間から見捨てられるはずですが、他に代替できるシステムが存在していないことをいいことに、特にシェアを木にすることもなく安泰を続けているように見えます。

日本語版が整備されていない海外製の通信手段の導入には抵抗があるとしても、機動力がある企業ならLINEはに類似のシステムを国産で作り上げることもできそうな気がしますが、儲かる絵が描けないからか、LINEは一強がずっと続いたままです。

政府が音頭を取って、政府機関や地方公共団体向けのシステム構築でも促せば良いように思いますが、それはそれでマイナンバーカードのような危険なシステムが出来上がってしまう予感があります。

ただ、これほど簡単に機密情報が漏れっぱなしのシステムを、政府や地方公共団体の基幹業務に使用し続けると言おうのは問題が大きすぎるような気がします。

せめて2~3年かかっても良いですから、安全なコミュニケーションツールを構築する機運が出てきても良いのではないでしょうか?