国策半導体会社の行方

日本の主だった産業の会社が共同で設立し、日本政府も大金を投入しようとしている国策半導体会社「ラピダス」。

北海道に新工場を建設して、かつて半導体技術で世界を席巻した日本の技術を再びという目論見でしょう。

何より半導体生産では台湾のTSMCは圧倒していて、難しい半導体は任せておけば良いという風潮だったので、国内の半導体メーカーがどんどん生産から撤退してもお構いなしだったのですが、急に「中国が台湾を併合したらどうする?」となって、米国も日本も自国生産拠点の整備を急いで始めたということでしょう。

半導体を「産業のコメ」と呼んだのはかなり昔のことになりますが、半導体がなければ話が始まらない産業は多岐に及びます。

国内の自動車産業を守ろうとしても、半導体の供給を中国に頼ることになってしまっては足元からすくわれてしまいます。今になって「産業のコメ」という言葉の重要性に気づいたということでしょうか?

しかし、2nmのテクノロジーを米国から調達して生産に特化するようですが、日本企業はここのところ最新半導体技術から遠ざかっていますから、人材や品質管理体制を整えるのは容易ではなさそうです。

国産航空機の頓挫のようなことにならないように、注意深くしかし大胆に突き進んでもらいたいものです。

最近の半導体関連のニュースでは、九州のTSMC関連の新設工場も話題ですが、生産設備の話ばかりで設計技術に関する話題がありません。

製造にはそれなりの技術が必要ですが、さらに設計には付加価値を付けるためのノウハウが含まれますから、そろそろ設計に関するニュースを聞きたいところです。

半導体設計に関してもここ20年ぐらいは撤退の話ばかりでしたから、すでにかなりの技術が失われているかも知れませんが、ラピダスの最新の製造技術が活かせるように、世界で勝負できる設計技術を生み出してもらいたいものです。

ChatGPTと占い師

ChatGPTについて、全く知らないか試したことがないという経営者が大半を占めたとのこと。どうして会社の先頭に立つ経営者が、社会や技術の先端のことに興味がないままで済まされるのか甚だ疑問です。

まあそのような経営者が多いから日本が傾いてきたのでしょう。海外でも同様の経営者がいたら企業や社会は傾くのでしょうか?

最近ChatGPTの繰り出す文章に触れていると、かつて知っていた人にとても似ていると感じました。それが誰かと考えて気付いたのが、2つ上ぐらいの上司、つまり課長の上の次長ぐらいの人に多かったかなと。

ChatGPTばりの論調の名手です。

世間を知ったかのように広い見識を持っているように見えて、実は実体験に基づくものはほとんどなく、人からの聞き伝えをつなぎ合わせただけの薄っぺらい論理。

既成事実を並べているだけなので反論する余地がなく、如何にも正論を語っているように見えますが、新たな知恵やアイディアは微塵もないので話す内容に価値がありません。

このような人が何となく分かっている人のように見えてしまって、知らない間に出世してしまうのです。

で、この類の人は自分の考えがありませんから、人から批判されることもなく、しかし何となくデキる人という立ち位置に着けるのです。

これは正に占い師と同じで、全く世界を掌握しているわけでもないのに、人の言葉尻だけを繰り返して語るだけで、なぜか人の将来をお見通しであるかのように見えてしまうのです。

ChatGPTの本質はインターネットのまとめサイト!

しかし、これは「知能」とは違うと思います。

それを人工的な言葉としてまとめるアルゴリズムが、これまでにない人工的な感覚を醸し出しているだけで、そこに人工知能と呼べるべき知恵やアイディアはありません。

まあ、まとめサイトの情報とオリジナルアイディアを区別できないのですから、ChatGPTに知能を感じる人がいても不思議ではありませんが、まとめサイトを読んで「なんでも知っている賢い人が書いているのだな」と感心しているのと同じではないでしょうか?

そう考えればテレビで引っ張りだこで博学多識の池上彰さんも同じで、いろいろな知識が頭の中に溜め込まれているからこそ、いろいろな状況で正しいような回答をとっさに出すことができるのでしょう。

知識と知能は違う!

人口知能と言えるには、まだ乗り越えなければならない壁があるように思います。