ムーアの法則に思う

半導体業界で長年の間何度となく聞かされた「ムーアの法則」。

必ず業界にはいかにも真理のごとくムーアの法則を崇める人がいたりしましたが、今から思えば別に法則でもなんでもなくて、ただの経済的な経験値だったのかもしれません。

すなわち、半導体の世代が交代するためには、テクノロジーが進歩して生産設備や素材などが進化しなければならず、同時に作られた半導体を利用する製品についても新しい製品群や機能が開発されていなければなりません。

ただそのサイクルが1年とか2年ごとに訪れただけで、別に半導体の集積化に自然法則があったわけではないのにもかかわらず、不思議と法則のごとく振る舞ったという意味では将来予測としては秀逸だったと言えるでしょう。

もはやインテルが半導体業界を牽引する訳でもなく、微細技術もこれまで通りに進化することはないでしょうが、それでもなお米国や日本で新しく半導体の製造工場を新設する計画が目白押しであることは、半導体の永続的な供給の重要性がより増しているということでしょう。

ここしばらくはシリコンなどの無機半導体が主流であり続けるでしょうが、有機半導体や生物セルなどが最先端技術として取って代わる日もそう遠くはないかもしれません。

半導体産業の世代に渡って君臨した法則は、その終焉とともに全く新しい技術に引き継がれて行くのかもしれません。

ChatGPTで医師国家試験合格するか?

北海道大学医学部の学生さんが、過去の医師国家試験問題400問をChatGPTの解かしたら、合格レベルには到達しなかったものの、55%の正解率だったとのこと。

医師国家試験に合格するのと医者になるのとは違いがあるでしょうが、少なくとも医師が持つ知識や情報といった部分については、ChatGPTで間に合うことが多いということでしょう。

AIで置き換わる職業は、単純な事務処理や銀行の窓口業務のような定型的な処理だと思われていましたが、最も権威がある職業の1つである医師の少なくとも知識分野に限っては、AIが取って代わる可能性があるというのはある意味恐ろしいことです。

もっとも膨大な情報や知識を必要とする医師という職業だからこそ、膨大な情報を集約したAIにまっ先に取って代わられたとしても不思議ではありません。

頭脳を使う職業はたくさんありますが、髄脳を使うと言っても過去の経験に基づくものがほとんどですから、インターネットに蓄積された情報にはかなわないのでしょう。

かといって、デザインや作曲といった創造を伴う職業でも、実は過去の経験に基づいてそれをアレンジしたりひねくったりすることによって新しく見えるだけかもしれませんから、クリエイティブと思われていた職業こそがAIの標的になる可能性もあります。

そう考えていくと、AIによって取って代わられない職業を探すほうがむつかしく思えてきます。

AIをメインテナンスする職業か、AIにが出した結果を評価したり検討する職業以外、ほぼ駆逐されるかもしれません。

まあ、実際は様々な職業が派生的に必要になったり、人の手による作品がもてはやされたりするのかもしれません。

以外と人類は変化に対して平気です。