災害をハイテクでサポートできるか?

日本に住んでいて、日本は安全な国だと思っている方が大半だと思います。

しかし治安はともかく、災害に関するリスクは世界の中でも結構高いようです。

そこで災害を想定した避難訓練が各地で実施されているのですが、その中で最近流行のスマホとAIを使った避難ナビゲーションなるものが注目されています。

最近ニュースで見たのですが、デジタル放送中のテレビ画面に災害状況が表示され、地域ごとにアレンジされた適切な避難場所が指示されるらしいです。

またリアルタイムな避難指示がスマホやタブレットから出されるので、それを見ながら指定された避難場所に家族が集まるという仕組みです。

確かに阪神大震災のときに、被災した家屋にいた家族がどこの避難所にいるのか、近所の人に教えてもらって避難所になっていた幼稚園で再開できたという話を聞いていますから、災害後に家族が居場所を探すときに、何らかのシステムで情報が共有できれば良いのは確かです。

しかし、家でテレビを視聴していて、災害時にテレビ放送が継続して電気も止まらない想定では、そもそも避難する必要がないかもしれません。

電気やガスのインフラや、通信網が十分使える状態を想定した避難訓練もある程度意味があるのかもしれませんが、少なくとも阪神大震災のときにはせいぜいラジオしか情報を得る手段がなかったのですから、携帯電波が機能する前提の非常時システムは意味をなさない可能性が高いのではないでしょうか?

確かに近年は通信網の整備やスマホの進歩にゆだねられる事が多いので、何か新しいことを考えようとすると、どうしてもスマホや携帯電波網に頼らざるを得ないのかもしれません。

しかし、災害時に一番障害になるのはインフラの崩壊です。

電気、ガス、水道がない状態で如何に生活を続けることができるかを考えなければ、いつものように何でもスマホが答えを出してくれると考えてはいけません。

できるだけ原始的で、乾電池数本で可能な程度のローテクで構築することが、災害時のシステムに求められているのではないでしょうか?

自動運転の定義

自動運転とは何でしょうか?

レベル1~5の自動運転の程度の定義はあるみたいですが、そもそも完全自動のレベル5、すなわち運転者が何もしなくても目的地に着けるという自動運転の定義が曖昧な感じがします。

各自動車メーカーがしのぎを削って開発中ですが、だいたい新技術の開発というのは数年経つと疲れてきていい加減になるものです。

今の自動運転もその状況に入っていて、自動運転タクシーが米国や中国で当たり前になりつつあるようですが、それなりに社会の犠牲のもとに成り立っているように見えます。

米国と中国はどちらも似たところがあって、多少の犠牲はものともしない姿勢があります。

社会の進歩には犠牲(人柱)が必然であって、その前提のもとにできそうもないことに突き進め無傾向があります。

ですから、アメリカ合衆国で無人のタクシーが走り回っていても、日本人からしたら実環境で実証実験をしていると捉えるべきでしょう。

ですから不要に近づくとやけどをします。

すでに気付いておられるでしょうが、一部のUSの企業、例えばGoogleやAppleなどは未完成のものをまず社会に出して、実環境でテストを平気でする企業です。

Googleのツールで最初から完成して提供されたものはほとんどなく、どれも未完成不完全な状態でリリースされて、後から徐々に改善されていく姿をご存知でしょう。

Appleにしても同様で、初期のiPhoneやiPodTouchの酷さは完成度30%ぐらいではないかと思えるほど酷いものでした。

日本の企業ではそうはいきません。

最初から社内でテストを繰り返した後、製品として発売して市場で欠陥が発見されたものなら、犯罪者のような社会の仕打ちが待っています。

どちらが良い悪いの論議ではなく、社会は完全なものより新しいものを要求しているということでしょう。日本人の感性にはマッチしなくなっています。

日本人の失敗を許さない精神ややり直しの効かない体制が、現代のグローバルな症状にそぐわなくなっています。

「良い悪い」の判断は真実が分かっている事象に限り、変化の激しい分野では「良い悪い」には目をつぶる事が必要なのかもしれません。