H3ロケットの発射中止

H3ロケットが、固定燃料ロケットに点火しなかったために発射が中止されたとのこと。

中止と失敗の違いについて議論になっていますが、とりあえずやり直しがきくのが中止で、やり直せないのが失敗ということで納得しましょう。

国産ジェット旅客機開発が中止になった後ですから、派手に飛ばしてもらいたかったところですが、点火しなかったら仕方がありません。花火でも点火しないことは多々ありますから。

確かに飛行機や新幹線なら時間通りに運行することは大切で、スケジュール通りに飛んでいる割合が航空会社の評価の一部ですから、時間通りに運行することは重要です。

しかし、ロケットの場合は飛ぶ時間が重要でなくて、飛んだ後に軌道に正確に乗せることができるかとか、計画通りの軌道を描いて飛行することがより重要ですから、今回のように飛ばなかったのはそれほど計画では重要な意味を持っていないことは納得できます。

どうも一般人的には新幹線のダイヤと同じような感覚で、成功か失敗かを判断してしまうのでしょう。

物事には必ず満たさなければならない条件と、満たす必要なないけれども必然的に決めて置かなければならない時間や数値というものがあります。

例えば宿題をやるのにいつまでにやらなければならないという事が重要で、それに何時間かけるかは気にしない場合があります。

今回のロケットの発射にしても、その時間に打ち上げることは天候的に必要ではあったかも知れませんが、別に次の日でも3日後でも構わないのです。

おそらく、いつまでに成功させなければならないという別の日程があって、その保まで成功させるための発射日が今日だっただけで、その日に成功させる意味は殆どないのでしょう。

まあ、少し前まで日本は自称技術立国でしたから、失敗は許されないのでしょうが、今回は失敗ではなくて中止ということで、暫く待つことにいたしましょう。

話は戻って、新幹線の雪による運休が続いておりますが、これも雪で止まっているからまだよいので、雪で脱線したらえらいことです。

計画が思い通りに行かないこともありますが、それらをすべて失敗と嘆くのではなく、影響が大したことでないなら、あえて中止と言ってじっくり準備をやり直すことが必要なのかも知れません。

クリエーティブな仕事って本当にクリエートしてる?

昨日、これからはChatGPTがインターネットサイトを全部検索して、まとめて整理して回答を出してしまうのでサイトを見る必要がなくなると、自分で書いてサイトを更新する気が失せてしまった私です。

少し前にまとめサイトが、他のサイトから必要な情報だけ引っこ抜いて、如何にも自分が書いたように見せているのは著作権を侵害しているというような議論があって、まとめサイトを提供していた企業が倒産したり、Google検索の順位が大きく下げられたという事件がありました。

しかし、インターネットから情報を引き出してくるChatGPTは、正にAIが行うまとめサイトのようなものですから、そのうち前回と同じような議論が巻き怒らないとも限りません。

ところで、最近AIが絵を書いたり小説を書いたりするそうですが、そうなると将来消滅する職業に真っ先に挙げられるのは、小説家やアーティストとなってしまいそうです。

クリエーティブな職業は、人間本来の感性や経験に基づくものなので、一番AIの影響を受けなさそうな気がしていましたが、意外とクリエーターはほとんどクリエート(創造)することなく、過去に造られたものをコピーして、模倣して、つなぎ合わせていただけだったのかも知れません。(そりゃ、頻繁に盗作が話題になるわけです。)

まあ、絵画も最初は模倣をするところから始めるそうですから、模倣は大切なのでしょうが、これほどまでに様々な芸術作品が溢れてきていますから、そう簡単にオリジナリティがあって素晴らしい作品を作ることはできなくなっているのでしょう。

過去の作品の一部をコピーして適当にノイズを入れておけば、新しい創作物の出来上がりとするならば、AIは人間より数段速く作る事ができるでしょうし、それを創作と認めないとすれば、これまでの人間の作品も創作と呼ぶには相応しくなかったと言えるかも知れません。

はるか昔の70年代に電卓が普及した頃、もう計算練習はしなくてもよくなるだろうと思ったのですが、実際は今でも計算は必要ですから、AIによってどこまで置き換わってしまうかは容易には判断できません。

AIが作った絵や小説が珍しいうちはおもしろがって話題になりますが、すぐに飽きられてしまうかも知れませんし、逆に人間が作った絵や小説が見向きもされなくなるかも知れません。

得意分野を住み分けて共存するというのが、望ましい落とし所でしょうか?

ChatGPTの可能性

最近色々なところでChatGPTが話題になっています。

まずは、その論理的な回答の優秀さが注目されていて、確かにサンプルの文章を見ていると、要領を得ない人の話よりよほどまともな感じがします。

もう一つ注目されているのは、ChatGPTの登場で慌てていると言われるGoogleの今後の対応です。

AIを利用したコンピューターサービスは、今後Googleが力を入れていく分野なのでしょう。そこに突如として対抗馬が現れたのですから、悠長に構えているわけにも行かないのでしょう。

しかも、MicrosoftがChatGPTに肩入れしていて、次世代の検索エンジンに採用するということですから、Googleの屋台骨を揺さぶる可能性もあります。(インターネットの情報を牛耳るのは俺だ!)

AppleのSiriも登場のとこは大きな驚きでしたが、くだらない質問に対する適当な答えを聞き飽きてしまった感があります。ChatGPTが同じ運命にならなければよいのですが。

ところで、ChatGPTはインターネットの情報から、質問に応じた情報だけを整理して提供してくれるということですから、ある意味ではインターネットのまとめサイト的なものをAIで実現したと言えるかも知れません。

私たちがググると言いながら、Google検索を駆使してインターネットサイトを探しているのは、そのサイトを見たいからではなく必要な情報を得たいからです。

ですからAIを使った検索で事足りれば、サイト自体を見ることもなくなるでしょう。私のようにサイト上に一生懸命文字をアップロードしているのが虚しくなります。

もうインターネットサイトはなくなり、情報をインターネットに吸い上げるような、AI版情報アップローダーみたいなサービスが登場するのも近いでしょう。

確かにプログラムのコーディングで分からないことは、ほぼ間違いなくググれば回答が得られますから、コーディングをAIがやってしまうのはそれほど難しくないと思います。プログラムの仕様も、ChatGPTとの会話だけで作れそうです。

まだChatGPTには論理的に破綻することが時々あるそうですが、人間でもいい加減な理屈を述べ立てているように見えて、中身が伴わない会話をしている人も多いですから(それは私!)、それはそのうち改善していくことでしょう。

人が言ったことに指摘したら喧嘩になる可能性がありますが、ChatGPTに対して間違いを指摘したらどうなるのでしょうか?

ChatGPTの例を見ていると、個々の質問に以前の回答は反映していない様子です。インターネット検索も個々の検索は独立していて、過去の検索結果を利用したり反映した検索はできませんから、ChatGPTに間違いを指摘しても、それはそれで別の質問として処理されるだけのような気がします。

世間に一通り広まるまではChatGPTのブームが続くでしょうが、その後インターネットが大きく変わってしまう予感がします。

ブログも企業サイトも食べログもSNSも、何もかもまとめてAIが検索して整理した結果だけを文章か音声で受け取るようになれば、たしかにSFで見たような世界です。

そのうち人間は、AIがばらまく情報の餌をむさぼり食うような餓鬼になってしまうのでしょうか?

日本人が得意なサイズ

昔から「末は博士か大臣か」と申しまして、小さい頃には「何と聡明な子だ!」と思われていても、大きくなるに従い輝きを失い、「大人になったらただの人」になってしまうことはよくあることです。

同級生で小学校のときはあんなに賢かったのに、中学・高校と進むに連れて目立たなくなり、そのうち消息さえ分からないなんてこともざらにありまあす。もちろん小さいときから目立たないこともありますから、少しでも目立っていた時期があっただけ幸せかも知れません。

三菱重工が旅客機の開発を断念すると言うニュース。数年前に試験飛行を始めた頃は、戦後初めての本格的な飛行機の成功を確信していたものでした。

産業の空洞化が叫ばれていましたから、工業分野の裾野が広い航空機に対する期待も大きかったのです。

経済環境の変化やアメリカでの認可取得のトラブルなど、技術的な問題以外で足を引っ張った要因も多かったですが、必要な技術のサイズ感が日本には大きすぎたのかも知れません。

さっきの同級生の話に戻りますが、例えば小学校の勉強は得意だったけれども中学から急に難しく感じたとか、中学は簡単だったけれど高校で落ちこぼれたという人も多いかと思います。

人それぞれで得意な複雑さというのがあって、他の人よりパフォーマンスがよい範囲みたいなものがあるように感じます。

日本が技術立国だと思っていたのも、テレビやビデオ、半導体や自動車など、部品点数が飛行機より数桁低いものです。

飛行機の部品点数を設計・管理するためには、半導体や自動車の技術とは違う発想や仕組みが必要なのでしょう。

特にデジタル化によって電気製品の部品数は格段に少なくなっているので、日本が得意とする部品数より製品規模が小さくなってしまい、その程度のサイズを得意とする国々に覇権を取られています。

一方、自動車もEV化で部品点数が劇的に減少しており、これまでは自動車をシステムと捉えて全体最適化設計をしていたところが、モーター、バッテリー、サスペンション、ボディ等、それぞれの部品を最適化してしまえば、以前に比べてそれほどインテグレーションには技術はいらず、それらを組み合わせるだけで最高の車を作ることができるようになりつつあります。

日本人は品質に厳格だったから、高品質な製品が世界を席巻したのは30年前までの話。

すなわち、ここでも日本の得意とするサイズ感より小さくなっていて、今後もこの分野で世界の競争相手と伍して行くためには、これまで良しとされてきた品質管理方法や品質基準を数段緩和する方向に修正が必要になるのではないかと思います。

日本製自動車が韓国製に負け?

ついに韓国の賃金が日本を追い抜いたらしいです。

賃金比較には為替やなにやらいろいろ考慮することはあるでしょうが、そんな細かい話ではなく、90年代は日本の3分の1と言われていましたから、ここ30年の間に3倍もの差を追いつかれてしまったわけです。

韓国が経済的に世界を席巻しているわけでもありませんから、日本の低迷ぶりが悲惨なレベルであるということでしょう。

CarWawというイギリス発の車に関する情報を発信しているYouTubeチャンネルがあります。

そこでBest SUVと題して、ヒュンダイ、キア、とともにホンダのヴェゼルと日産のキャッシュカイを比較した動画がありました。

値段も韓国製の方が少しばかり高いです。正に国民の賃金と同じ!

それでも日本車の評価が高ければ良いのですが、細かい評価を見てもルックスを見ても日本車は韓国車に見劣りがします。

結果はキアの勝ち!

このチャンネルは、比較的正直に新車の評価をするのが有名です。日本のチャンネルは、やたらドイツ車ばかり褒める事が多いですが、CarWawは結構ガチで評価をしていて信頼性が高いと思います。

これは韓国車に限らず、30年前のシュコダが今やフォルクスワーゲンとほぼ同じ出来栄えですから、日本車が30年前と同じ程度なら見劣りして当然です。

海外の自動車産業は日本人が考えている以上に進歩しています。(日本人が寝ている間に!)

キアは30年前はトラックしか作っていなかったように思いますが、今や日本車を脅かす存在になりました。

このままではトヨタ以外の日本車の国際的な競争力は、技術面でも資本面でも勝ち目はありません。

日本は今更になって半導体にテコ入れをしようとしていますが、稼ぎ頭と思われていた自動車産業も放ったらかしにしている間に、トヨタ以外は携帯電話と同様のガラパゴス状態です。

すでに手遅れの半導体にテコ入れする前に、早い目にテコ入れしなければならないのではないでしょうか?