企業が売却される局面でストは有効か?

今回の結論からいけば、有効ではなかったようです。

ストは駆け引きですから、相手が駆け引きに乗れる状況なら有利に活かすことができるかもしれませんが、相手がもっと危機的な状態の場合、ストによって状況が変わるものではないのでしょう。

経営者側にいわゆる嫌がらせ的なインパクトしか与えられませんから、すでに経営が正常にできない経営者はストにかまっている場合ではありません。労働者的にはストに参加するふりをして、転職活動に励むのが正解だと思われます。

ストは売上が減るわけですから、経営は継続できるけれども従業員の給与は減らしたいという、経営者の戦略に対抗する手段として、まだ経済が成長過程では労働者の常套手段として有効だったのでしょう。企業が身売りする段階で有効だとは思われません。

おそらく地元客に従業員の悲惨な状況を伝える効果はあったと思いますが、地元客にとっても、同じ場所に別の経営者になった新しい商業施設ができるのなら、現在の従業員が継続雇用されるかどうかはどうでも良いことで、よほど人気があった店員なら継続してもらいたいこともあるかもしれませんが、普通ならどうでも良いことです。

昭和40年、50年代ならいざしらず、令和の時代に潰れつつある企業に継続雇用を保証しろと要求しても、土台無理です。

ということで、縮小傾向にある今の日本においてストが有効になるケースなど殆どなく、「嫌なら騒がずにやめる」というのが正しい行動指針のような気がします。

Suicaの発行停止の理由

関西に住んでいると全く知らなかったのですが、新規の無記名Suicaカードの発行ができない状況が続いているそうです。

はっきりとした再開の時期はアナウンスされていませんが、来年の春頃には再開できるだろうということです。

内蔵するICチップの入手が半導体不足の影響で困難になっていることが理由 だそうですが、汎用品であるチップが枯渇するというのは珍しい状況ではないでしょうか?

関西で同じJR系ではICOCAがありますが、現在は通常通り新規購入ができるみたいですから、特に人口の多い関東地区で早く品不足が表面化したのでしょう。

半導体不足は全産業に関わる問題で、あらゆる分野で品不足が起こりうるでしょうが、今回の Suica に関しては、汎用品でそれなりの在庫もあったと思われ、思わぬ需要の拡大で急激に在庫がなくなった可能性もあると思います。

ここ最近回数券が制度として廃止される鉄道会社が増えてきて、その代わりとしてICカード 利用によるポイント制度を導入するケースが増えてきました。

これまで磁気式回数券を使っていた人たちが、急にICカードに乗り換えているために、予想外の需要が出てしまったのではないかと予想しています。

ところで、Suicaの新規顧客獲得が滞ってる間に、クレジットカードのタッチ機能による乗車システムに客が流れてしまう可能性があり、今後のキャッシュレス決済の勢力に影響するかもしれません。

ICの入荷状況の先読みを間違えたために、せっかくシェアを築いてきたキャッシュレス方式が他の方式に侵食される可能性もあります。

ICの世界的な供給不足は、ビジネスを失う企業が出てくると同時に、ビジネスチャンスと攻勢をかける企業もいて、確かにICは「産業の米」とはよく言ったものです。