調剤薬局の功罪

ドラッグストアが調剤事業を取り込んで調剤薬局の業務を侵食しているというニュースが、東洋経済オンラインに掲載されています。

利益率が3割と高いために、薬剤師さえ配置できればおいしい商売のようです。

確かにUSでは調剤薬局のようなものは見たことがなく、医者に行って薬はどこで買うかと尋ねれば、どこのスーパーマーケットでもドラッグストアでも扱っていると言われます。

一方、日本は小規模なクリニックや医院の近くに、必ず調剤薬局がほぼ併設に近い状態で建っていることが多いです。

おそらく、日本の医療が大量に薬剤を処方する習慣があることと、調剤薬局の利益率が高いことが相まって、近くに数件のクリニックがあれば薬剤師を常駐させても十分に元が取れるほど設けが多いのでしょう。

確かに家族で調剤薬局を経営している人の家には、3~4台のベンツを始め外車が並んでいることは珍しくありません。

もう50年近く前になりますが、高騰する処方薬の対策として医薬分業が打ち出され、医者が薬を売って儲けることができなくなりましたが、その結果医療機関の系列で調剤薬局が併設されるようになり、薬の大量処方は改善されなかったばかりか、無駄な処方箋料や処方技術料が加わりかえって医療費が高くなったのです。

調剤薬局が相変わらずおいしい商売であり続けるのは、業界の裏事情がありそうですが、最近のジェネリック薬の供給不足も含めて何らかの改善が望まれるところです。

今後は高額な処方薬が保険対象になることもあり、処方薬業務が「さらに金のなる木」に見えて異業種からの参入もこれまで以上に増えるでしょう。

健康保険事業の継続のためにも、タイムリーで正しい施策を打ち出してもらいたいものです。

将棋タイトル八冠の凄さ

将棋は全くの素人ですが、凄さは分かります。

七冠分の防衛戦をやりながらの新規タイトル獲得ですから、その精神的肉体的ストレスは凄まじいものがあるでしょう。

竜王戦を片手間にやっているかのような雰囲気さえありますが、どのタイトルも予選を勝ち抜いた強者ばかりが相手ですから、すべてに精魂かけて戦うのはプロの棋士と云えども鉄人です。超人です。

最近になって8つ目のタイトルができ、羽生九段の全タイトル制覇の記録が8つ揃わないとできなくなったのですが、あっという間に新記録が達成された感があります。

勝負の終盤をYouTubeのライブで見ていたのですが、攻め込まれてAIの判定で相手が80~90%優勢だったのが、たった1手か2手で形勢が逆転する当たりが将棋の面白さであり、プロの世界の厳しさなのでしょう。(AIの判定が極端なような気もしますが。)

確かに先手が有利と言われている中、1手の悪手をしてしまうと先手の有利さが吹っ飛ぶのですから、最高レベルのプロの指し手には悪手は禁物です。

しかし、藤井八冠は攻め込まれていた間にも余裕が少しでもあれば銀を打ったり、角を打っていたりして、最終的にそれが致命的に効いていたのが面白い。

会社の経営も、本当に優れた経営者なら、余裕のある時に打ったさりげない手が、将来大きな利益を生むようになるのかもしれません。

現代は変化が速く激しくなっているので、目先のことばかりを気にして長期的な予測を怠りがちですが、短期的な対策と中長期的な対策の両方がバランスよく必要なのだなと、この対戦の終盤を見ていてつくづく思いました。

目先のことも将来のことも、考えることができない私はどうしたら良いのでしょうか?(誰に聞いてる?)