性善説からの脱却

最近、回転寿司テロなどの話題が途切れることなく流れてきますが、その中で話題になるのが性善説の良し悪しです。

なぜか分かりませんが、日本人は国民として善人であるべきだという観念があって、例えひどいことを平気でする人がいたとしても、それはそれで理由があってのことと、あくまで人自身には非がないと思い込もうとする習慣があります。

「罪を憎んで人を憎まず」とは言いますが、如何にも日本人らしい発想といいましょう。

あくまで日本人には悪人はおらず、もし悪事を働いたとしてもその人の意思ではどうにもしようがない、何らかの外乱によって踏み外したというような受け取り方をしようとします。つまり更生が効くと。

何人とも仲良くしなければならないという、お上からの押し付けにほかなりません。他人事ならいいのですが、実際に被害にあった人にしてみれば冗談ではありません。実際、最近のニュースでは慈悲がない悲惨な事件が後を絶ちません。

そろそろ「みんなで仲良くしましょう」ではなく、「外に出れば100人の敵」が適切な世の中になっています。

「人間皆兄弟」とは、裏を返せば兄弟喧嘩や相続争いなど「争いごとは身内から」。殺人事件の半分は身内が犯人だそうです。

建前のみんな仲良くは通じなくなっているのですから、そろそろ性善説に従った商習慣や立ち振舞は止めて、世界標準の性悪説に立った行動が必要なのではないでしょうか?

国策半導体会社の行方

日本の主だった産業の会社が共同で設立し、日本政府も大金を投入しようとしている国策半導体会社「ラピダス」。

北海道に新工場を建設して、かつて半導体技術で世界を席巻した日本の技術を再びという目論見でしょう。

何より半導体生産では台湾のTSMCは圧倒していて、難しい半導体は任せておけば良いという風潮だったので、国内の半導体メーカーがどんどん生産から撤退してもお構いなしだったのですが、急に「中国が台湾を併合したらどうする?」となって、米国も日本も自国生産拠点の整備を急いで始めたということでしょう。

半導体を「産業のコメ」と呼んだのはかなり昔のことになりますが、半導体がなければ話が始まらない産業は多岐に及びます。

国内の自動車産業を守ろうとしても、半導体の供給を中国に頼ることになってしまっては足元からすくわれてしまいます。今になって「産業のコメ」という言葉の重要性に気づいたということでしょうか?

しかし、2nmのテクノロジーを米国から調達して生産に特化するようですが、日本企業はここのところ最新半導体技術から遠ざかっていますから、人材や品質管理体制を整えるのは容易ではなさそうです。

国産航空機の頓挫のようなことにならないように、注意深くしかし大胆に突き進んでもらいたいものです。

最近の半導体関連のニュースでは、九州のTSMC関連の新設工場も話題ですが、生産設備の話ばかりで設計技術に関する話題がありません。

製造にはそれなりの技術が必要ですが、さらに設計には付加価値を付けるためのノウハウが含まれますから、そろそろ設計に関するニュースを聞きたいところです。

半導体設計に関してもここ20年ぐらいは撤退の話ばかりでしたから、すでにかなりの技術が失われているかも知れませんが、ラピダスの最新の製造技術が活かせるように、世界で勝負できる設計技術を生み出してもらいたいものです。

大学全入時代

大学入試の時期も終盤になりました。すでに入学を決めている人も多いでしょうが、これから最後の踏ん張りに賭ける人もいることでしょう。

大学全入時代と言われてもピンと来ませんが、希望通りでないならば人数的には十分な大学定員があるということらしいです。

希望通りでない大学に行くことが現実的なのかどうか分かりませんが、それだけ大量に大学を作り続けて、既存の大学も学部学科を新設して定員が増えてしまったということでしょう。

大学進学率が高くなって、理系なら修士課程の大学院が普通になり、さぞかし高学歴の人が増えて社会が良くなったという実感があるかというと、決してそうは思えません。

時間をかけて教育すると言っても内容に大きく関わりますから、教育の量は増えても質が伴わない限り社会に良い影響を与えることはできません。

大学は出てみたものの、別に大学で学んだことは社会が要求していることとは一致せず、かと言って社会で評価される教養を身に付けることができたとも言えない、時間とお金の無駄であった可能性も否定できないケースも多いのではないかと思います。

日本全体としての教育レベルは変わらないのなら、以前のような専門学校や専門性が高い商業・工業高校で学んだ方が良かったと思える人も多いのではないかと思います。

企業は大学で学んだことを教養ではなく、即戦力として役立つ知識を持っていることを期待しています。

そのために若い人たちには、どの大学でどんな専門知識を得ようとしているのか、じっくり考えて全入時代の大学を決めてもらいたいものです。

動かない経営者

東洋経済オンラインに「システム開発はなぜこうも失敗を繰り返すのか」という記事が掲載されています。

かつて、日経コンピューターという雑誌に「動かないコンピューター」という連載記事がありましたが、毎月毎月これでもかというお粗末なシステム開発の顛末が繰り広げられていました。

しかし、これほどコンピューター業務が溢れてきて、SIerの経験も蓄積されてパッケージソフトも充実してきても、相変わらず多数のシステム開発の失敗事例があるそうです。

実際にニュースにならずにもみ消された案件も相当数あると思われますから、コンピューター技術が進歩してもなかなか改善しにくいものなのでしょう。

記事の中で失敗の原因として挙げられているものに、開発チーム間のコミュニケーションの問題と経営者の無知が挙げられています。

どちらも「動かないコンピューター」でおなじみの理由で、これら人間自身にかかわる問題というのは、時代が変わっても人間には進歩がないということの証なのでしょう。

しかし、経営者がシステム開発に無知というのはどういうことでしょうか?

企業がコンピューターを利用し始めて長く経ちますから、システム開発経験がある担当者が少しぐらい経営層にいても不思議ではないのですが、もしシステム部門出身者が経営層に上り詰めることができないシステム開発軽視の企業ですから、システム開発を失敗するのは当然かも知れません。

Amazonは、自社開発したECシステムを武器に世界中の流通を牛耳ったばかりか、開発したシステム自体もクラウドコンピューティングと称して別の新しいビジネスに結び付けています。

対象的に日本の多くの企業は、自社で使うシステム開発も満足にできず、ビジネスに結びつけて儲けるどころかゴミと化したシステムが業績の足を引っ張っています。

経営者とコミュニケーションが悪いということは、数十年前から言われ続けていたことです。

まだ日本には無駄をしている余裕がありますか?

ドメスティックインターネットはどうでしょう?

今、自宅のインターネットが遅いのでホームWiFiルーターを試しているのですが、何故かあるパソコンだけそのルーターを通すとIPv4アドレスにアクセスできないトラブルで困っています。

GoogleやYouTubeのようなグローバルサービスをしているサイトは、すでにIPv6になっているのでアクセス可能なのですが、その他のサイト、例えば朝日新聞やBBCなどはIPv4なのでアクセスできなくなっています。

インターネットのサイトをいろいろ調べても、なかなか解決方法が見つからないのですが、その時にふと、IPv4はこのままでも良いのではないかと思いました。

IoTが提唱されたのは2000年頃でしょうか? 

まだ日本ではそれほどインターネットが知れ渡る前で、かろうじてインターネットを携帯電話の固定したサイトがインターネットを間借りしているような時代でした。

その後、本格的にインターネットが普及するとIPアドレスの数が将来足らなくなるということで、IPv4を拡張したIPv6というアドレッシング方式が採用されて、今も移行が進んでいるところです。

しかし、日本国内のサイトはほとんどがまだIPv4ですし、近々変更する気配もあまり感じません。(私だけ?)

ところで、IoTで世の中のものすべてをインターネットに繋いだら、生活が今より豊かになるのでしょうか?

例えば買い物に行った時に自宅の冷蔵庫の内容が分かれば便利かもしれませんが、それなら出かける前に確認すればよいのであって、あるいは出先からインターネットで冷蔵庫を覗いて買い物を決めるほど几帳面な人なら自分の頭で覚えているでしょう。

また、自分の冷蔵庫ならまだ興味がありますが、カリフォルニアに住んでいるボブさんの冷蔵庫の中身には興味ありません。インターネット上で個別にIPアドレスを振って、世界中の人からアクセス可能にするアドレス空間が必要でしょうか?

先日、電動工具の話を投稿した時に、最近USのHome Depotではどのような電動工具を売っているのか気になってインターネットのサイトを開こうとしたのですが、日本からはアクセスできないようになっていました。

日本から注文することができないのですから、日本人にアクセスさせる必要はありません。

IPv6とIPv4を使い分けるとか、国内はプライベートネットワークにしてしまうとか、方法はいろいろあるでしょうが、アクセスできる地域を制限することによるメリットも多いのではないでしょうか?

海外からのハッキングもなくなりますし、IPアドレスの枯渇についての対策にもなるでしょう。

そもそもIoT(Internet of Things)って意味あります?