GFがIBMを訴える

グローバルファウンドリー社(以下GF)がIBMを訴えたらしいです。

すでにIBMから人も技術も全て買い取ったと思っていたのに、新しくできた日本の国策半導体会社ラピダスとインテルにIBMが有償で技術を開示したことに対して異議を唱えています。

IBMの半導体事業は少々ややこしいことがありまして、テクノロジー(製造技術)と従業員を含む2つの製造工場ごとIBMがGFに売り飛ばしたのですが、テクノロジーが古くてそのままでは売れないので、無償どころかご丁寧に手切れ金を上乗せして引き取ってもらった経緯があります。

GFにしてみたら、IBMの技術は全てその中に含まれていると思っていたのに、肝心の最先端技術はIBMが引き続き開発を継続していて、それを日本の会社やインテルの売っているというのですから、そりゃ腹が立っても仕方がないでしょう。

中国がドイツや日本の技術を使って高速列車を作って、独自技術だと行って第3国に商売しているのとあまり変わりません。

ラピダス以外にインテルにも開示したということですが、そもそもインテルは80年代はIBMの子会社だったので、関係性がまた複雑になります。

約10年ほど前に日本の企業がバタバタと半導体開発をたたんでから、GFには多くの技術者が新天地を求めて転職したようですが、また日本で半導体開発を行うとなれば、それらの技術者が日本に戻ろうとすることは目に見えています。

つまり、ラピダスという全く新しい会社を作っても、技術者がいなければただの箱。

かつて日本の会社が無下に手放した半導体技術者を継続して雇用してきた、GFに依存するしか方法はないのでしょう。

ただ、現在半導体分野では迫りくる中国の脅威に、どうやって日米欧連合を組んで対抗するかが重要です。

技術や人材を取り込もうとするのではなく、協力し合えるような解決案を探っていただきたいものです。

イギリスでも物価高

よく英語の勉強を兼ねて、インターネットでBBCラジオを聞いているのですが、ラジオはテレビや動画に比べて、リアルタイムが最大の特徴で、日本で起こった世界的に注目されている事件などは、日本のテレビニュースよりも早く報道されることも多いです。

BBCが世界の中立的な反応をしているとは限りませんが、どんなニュースが世界で伝えられているかを知るにはよいメディアだと思います。

今日は物価高が話題に上がっていて、電話で市民の声をインタビューしていて(というか単に電話をしていて)、生々しい市民の声が聞けて、しかもラジオですから忖度なしの本気の迫力があります。

最近のマツコの知らない世界でも言っていましたが、これほど色々なメディアが登場してくる中で、ラジオほど速達性、独自性、マニア性、リベラル性に優れた媒体はないのではないかと思います。

テレビや新聞や週刊誌は、それぞれに柵があって、忖度があって、社や担当者の方針があって、それらの条件を十分理解していないと視聴者側が誤った理解をしてしまうことがあります。

その点ラジオは、音声だけの文字通りNarativeなメディアですから、情報の伝達量が映像に比べて少なく、言葉を選んで情報が繊細になる傾向があります。

テレビの場合は、出演者も多く、それぞれをまとめて管理して番組に仕立て上げるためのオーバーヘッドが大きくて、どうしても作りが雑になっているような気がします。

「まあ、こんなもんでよいだろう!」的なある種の限界を感じさせるものが多いです。

ラジオはもともと音声だけの情報ですから、それに込めるエネルギーがすべてパワーとして聴取者の心に響きます。音楽が人の心を動かすのと同じ理屈かも知れません。

話はそれましたが、BBCラジオでイギリス人のおばさんが物価高を嘆いているのを聞くと、日本での物価高も仕方がないのかもしれないと、諦めて納得をしてしまうのでした。

専門職大学って専門学校と違うの?

神戸の女子大学が、閉学を前提に募集を停止するというニュースがあります。

神戸は数多くの私立の学校がありますが、特に神戸から西宮にかけてのエリアには、俗にお嬢様学校と呼ばれた女子大学併設の中高学校がいくつかあります。

元を辿ればウーマンリブに端を発する女性の地位向上運動の影響もあって、近年みるみるうちに女子短大や女子大の人気がなくなり、女性も一般の4年制大学に行って男子学生と一緒に社会科学や自然科学を学ぶようになってきました。

そのため、以前は教養や花嫁修行と言われた文学部や家政学部だけの女子大が、淘汰されつつあります。

数十年前なら、結婚をしたらある意味専業主婦という職業があったのですが、今やそれもなくなり、家計のために外に出て稼ぐ必要があるということなのでしょう。

90年代の主婦がパートで働き始めた頃、何のために働くかというアンケートの答えは、決まって「自分の趣味や娯楽のため」という回答が多かったのですが、当時USでは同じ質問に対して「生活のため」という回答がほとんどだったそうです。

やはり日本はUSから20~30年遅れて波が来るようです。

さて、女子が女子校付属でない大学に行くようになって、何が起こったかというと、大手私立大学の付属中学・高校が共学化して女子の生徒が増えました。

単に就職に弱い女子大学の付属から、就職ができる大学の付属に女子生徒が移動しただけです。

つまり、大学間の競争が激しくなってきているということで、その競争はどこに就職できるかが焦点になっているのですが、一方少子化で学生を集めなければならない大学側は、AOや推薦入試を増やしていて学生集めに必死です。

以前は真面目に大学が学問や人格形成のために行くところであるという人がいましたが、就職のためという目的を隠すことなく公言できるようになったのは良いことです。

そこで、もっと露骨に就職のための専門職を養成すると謳う専門職大学なるものが登場してきました。

専門職大学ならかつての専門学校で良いのではないかと思いますが、国から補助が出るのか、4年在籍させないと儲からないのか、なぜか新しい形態の大学を作りたがるようです。

何かどんどん発散していくばかりで、収束する方向性が見えなくなっていて、本物とインチキの見分けが難しくなってきています。

こんなときは人の言うことが信じられなくなりますから、AIに任せて大学を選ぶようになるかもしれません。

ますますインチキがまかり通りそうです。

25人のAIが一緒に暮らす?

スタンフォード大学とGoogleが共同研究で、AIを25セット用意して同じ環境で生活をさせたら、それぞれの人格が形成された如くコミュニティができて、バレンタインの催しを企画するなどの自然発生的な(プログラムされていない)行動が現われたそうな。

最近のAIは、少なくとも小学生低学年ぐらいの人間性を再現できているように思えるので、集会をしたりパーテイを開催したりぐらいはできるだろうとは思いましたが、完全に社会生活に近い形態が再現できたというのは恐ろしいことのように思います。

もちろん、それぞれのAIにキャラクターを持たせるために、個人的な趣向や行動の傾向を属性として与えているので、それぞれのAIがそれらしい方向性に進んでいくことは予想できるのでしょう。

しかし、これまでコンピューターはプログラムで与えられた動作しかしないものでしたから、プログラムの自動生成、つまり行動を自ら開発していくことができるという進歩は、AIがプログラムされなくても自ずから進化していけることを証明したと言えるでしょう。

これだけでも十分将来が心配になりますが、たいていこのような研究では、人間をシミュレートしようとして、人間に備わっている制約や限界を教え込ませて、できるだけ人間のような振る舞いを再現しようとします。

一方で、人間を遥かに凌駕する知能を開発しようとする研究者もいるでしょうから、人間の能力を超えるばかりか、人間の想像力までも超えてしまうような知能が開発されてしまう可能性も否定できません。

ChatGPTではインターネットから学習しているということですから、既存の知識や技術を吸収するに留まっているのですが、人格や知能が新たに形成されるとなると、その結果人類の味方になるとは限らず、まさにSF映画に出てきたような問題を引き起こす可能性が高いのではないかと思います。

これはもう宇宙人と同じです。

かつて、鉄腕アトムでも、人間社会とロボットの社会のいがみ合いがテーマになったことがありました。

人類が作ったものは人類が管理できるとは限りません。

これは原子力以上に人類の滅亡に関わる科学が、誕生してしまったのかも知れません。

回数券とポイント制

最近、JRも私鉄も回数券の廃止が相次いでおります。

在宅勤務が週に1日とか2日あると定期券では元が取れないため、以前は回数券を購入して、通勤費も回数券代が支給されることが多いのではないかと思います。

そこに来て回数券が廃止されるのですが、代わりにICカードで同じ料金の区間をひと月あたり10回以上乗ると、一定の割合でポイントとして還元されるところが増えてきました。

回数券に比べて還元率は少ないのですが、制度的には回数券の代用ですから、通勤費の支給はポイントを考慮した運賃が計算されるものとばかり思っていました。

ところが、これは私事の限るのかも知れませんが、通勤費規定で回数券か定期券の経済的な方を採用すると書かれているのをそのまま適用して、回数券がなくなれば普通運賃で計算する事に気づきました。

確かにICカードカードを使うかどうかは自由ですし、大抵はICカードはショッピングのポイントなどと合算されるので、通勤費が単純にポイント分だけ安くなるわけではありません。

かなり昔、飛行機のマイレージが普及しだした頃、出張で乗ったマイルに関しては会社に供出しなければならないというルールができたものの、その後マイレージ制度が他の利用でも加算されることになって出張だけのマイレージが計算できなくなり、出張で獲得したマイレージも個人で使って良いことになったことがありました。

回数券が廃止されて、実質運賃の値上げになるケースが多いみたいですが、通勤費が普通運賃丸々支給されるのなら損得を計算する必要はなさそうです。

回数券が切れるたびに買う必要がなくなり、また磁気回数券が通れる改札機を選ぶのも面倒でした。

長年慣れ親しんだ回数券がなくなるのは寂しいですが、ICカードに統合されるのはこのご時世では仕方がありません。

これからはチャージだけは忘れないように、心がけようと思います。