未来の無駄遣い

皆さんは未来に対してどのようなイメージをお持ちでしょうか?

この春から大阪で開催される万国博覧会でも、未来についてのメッセージを込めた展示がたくさんあるようですが、現在における「未来」は明るく待ち焦がれるものなのでしょうか?

ハリウッド映画が衰退しているとも言われますが、映画の世界でも未来は多数描かれていて、昔なら進歩した未来が描かれ、その後核戦争で廃墟のようになった世界が描かれ、最近はどうも方向性が定まらない混沌とした世界が描かれる映画が増えているような気がします。

1970年の前回の大阪万博では、数多くの新しいテクノロジーが展示され、明るい未来を夢見て会場に多くの人が集まりました。

誰も疑わない明るい未来があると信じていたのです。

しかし近年になって環境問題が顕在化して、安易に明るい未来を語ることが許されない社会になってきています。それなりにしっかりとした実行を伴うビジョンがなければ、明るい未来は来ない、そう考えている人が多いのではないでしょうか?

過去と言っても50年前もあれば100年前、300年前、1000年前というように様々な過去があり、目を覆うような悲惨な歴史もあれば輝かしい歴史もあるでしょう。

それと同じように未来も実際は一本調子の単純な変化ではなく、山あり谷ありの複雑な変化を伴うはずですが、どうも私達は一律に未来というだけで、明るく輝いていなければならないという幻想を抱いてしまうようです。

過去の歴史は反省はできてもやり直すことはできませんが、未来はかなりの部分を人類が築いていけるはずです。

今は将来の話題といえば年金の話ばかりでは面白くありません。ぜひ夢のある未来を想像できる大阪万博であって欲しいものです。

(それにしても会場の建設遅れや木造建築物の会期後の再利用ばかりが話題になって、肝心の万博の内容が一向に伝わってこないのは、本当に伝えるほどの中身がないからでしょうか?)

スマートシティとは?

皆さん、スマートシティってどの程度、理解と期待をされておられるでしょうか?

最近、仕事上の必要性からスマートシティに関するソフトウェアを調査しているのですが、その肝となるのがFIWAREです。

フューチャー・インターネット・ウェア(Future Internet Ware)という、分かりやすいと言えば聞こえは良いですが、昔から「フューチャー~」というものにはろくな物がありませんでしたから、あまり大きな期待は禁物です。

都市の機能をITによってスマートに解決するということのようですが、都市の機能って何でしょうか?

最近の話題だと下水道の老朽化の問題がありますが、ITでは到底解決できない大問題が地方自治体には溢れています。

スマートシティを目指すには、これらの問題を解決する方が重要だと思うのですが、それはさて置いて(さて置く訳には行きませんが)、一方でスマートシティを目指す活動が日本に限らずEUを中心に盛んになってきております。

その根底には、GAFAによって世界中のデータが牛耳られているのに対抗して、EUがデータ管理の覇者を目指すという目論見があるようです。

確かに今は何でもググればたいてい必要なデータを探すことができますから、データを牛耳られてその恩恵は一部の巨大IT企業のものになっているのは確かです。

しかし、都市とスマート化してそこからデータを吸い上げたとして、Googleが香竹したデータベースに比較して価値のあるものになるでしょうか?

地方自治体で活用が進められているのは、地方の自然災害や災害発生時の避難に関するデータの収集で、それらは公共事業としては価値があるかもしれませんが、そこにいくら投資したところでなにか価値を生み出して人類が幸せになるとは思えません。

単に意味がなく捨てることもできない大量のデータを保持するために、巨大なデータセンターのリソースに税金を費やして、一部のIT企業を潤すだけに終わってしまうように思えます。

FIWAREをの実証実験を4年間に渡って行ったらしいですが、結果としてデータの提供が十分でなく、また提供されたデータを流通して活用することはできなかったそうです。

何事も最初から成果が出るとは限りませんから、まだまだこれから改善できる可能性は否定できませんが、ただ単にデータを提供してもらってデータベースを開放すれば、人が喜んで自然に集まって来るというのは幻想であるということを理解すべきでしょう。

スマートシティの筋書きを、しっかりと考え直す時期に来ていると思います。