ゼロエミッション目標の見直し

一時は世界中がEV、それも特にバッテリーのエネルギーだけで走るBEV一辺倒で、「BEVでなければ自動車ではない」とまで言い切る勢いでしたが、ここに来て急に風向きが変わってきて、各社一斉に先延ばしにかかるようになりました。

炭酸ガスの排出量をトータルで考えると、発電や製造過程での問題が解決しなければならないことはトヨタが先頭に立って訴えてきましたが、ここに来てやっとまともな議論ができるようになってきたということでしょうか?

リチウムイオン電池の再利用技術などは、まだまだ実用化には程遠い感じもあります。そう簡単にひとっ飛びに技術を開発できないもどかしさを感じている人も多いのではないでしょうか。

石油資源が数十年で枯渇すると70年代にはすでに叫ばれていて、石油を使い切る前に核融合を完成しなければと言っていましたが、磁気浮上鉄道と同じように実用化までに解決しなければならない問題がたくさんあって、未だに実用レベルには達していません。

ならば自動車を使わないようにすれば炭酸ガスの排出も減りそうなものですが、在宅勤務が普及しそうな気配はあったものの、週5日出勤するべしと米国IT企業が率先して言い出す次第ですから、オンライン会議やオンライン授業などはお試しだけでお払い箱、通勤通学はこれまで通りという事になりそうです。

思えば70年代に学生だった頃、光ファイバーと核融合はどちらも同じぐらい新規的なものと考えられていたように思うのですが、世界中に張り巡らされている光ファイバーによってインターネットが普及したのに比べて、発電方法は50年前と変わらない火力発電が主流で、原子力と水力が従、再現可能エネルギーがなんとか実用になって入るもののそれに伴う弊害も見聞きします。

核融合が実用になれば、有り余る電力で海水を電気分解すればいくらでも水素燃料が作り出せるはずだったのですが、人類の大誤算ということでしょうか。

核融合に人類の存亡がかかっていると言っても過言ではありません。

自動運転と人間の技量

日本で2例目のレベル4の自動運転バスが、東京の複合施設で実用化されたそうです。

特定の目的で人が集まりバスの運行が注目されるような場所では、完全自動運転が可能になりつつあるようです。

東京オリンピックのときは、監視員が添乗していながら接触事故が起こってしまいましたが、その後安全面も改善されたのでしょうか? 今回は人の手を介さない完全自動運転を行うようです。

普段何の気無しに利用している公共交通も、よく見るとバスの運転や電車の運転はかなり高度な技量が必要で。その運転手になるにはかなりの訓練と技量が必要なことが分かります。

そんな高度な仕事が機械に任せられるのかという疑問が生じると同時に、もうそのような技量を持った人が少なくなってきたのかと思ってしまいます。

たまに乗る路線バスの運転手が、周りの交通や乗客の安全や運賃計算に気を使いながら運行されているのを見ると、これは誰にでもできるものではないなと感心することが多々あります。

自動運転は人手不足解消が目的の一つでしょうが、実際に運転手の能力のある人材を探すことが困難になってきているのではないでしょうか?

路線バスに限らず、夜間を通して走り続ける流通でも、トラック運転手はもうなかなか適した人材がいなくなってきたのではないかと思います。

人手不足ではなく人材不足です。

何事も仕事をするには誰でもよいわけではなくて、それぞれに必要な技量や心構えが必要になります。高度な知能が必要な仕事もあれば、肉体的な能力を要する仕事もあります。

しかし、現代人は知能も肉体もどちらも衰えてきているのではないでしょうか?

AIや高度な機械化によって楽になるのはよいのですが、人間が衰えていくのはまずいのではないかと思います。

これからは人間の能力を維持するために、筋力と知力トレーニングを欠かせなくなるかもしれません。