ホンダと日産

昨年12月から協議が行われてきたホンダと日産の統合協議。

対等な統合から一転して日産がホンダの子会社になるという話に変わって、破談になりそうな気配です。

日産の関係者からしたら、対等ならご時世で仕方がないことと諦めることができても、子会社になりますと、しかもこれまで長年に渡って敵対していた会社の子会社ともなれば、ああそうですかとはならないのは当然でしょう。

ただ、一番問題なのは、利益を生み出す体質に改善する方法は限られていて、そのどれもが痛みを伴うものであるということです。

まさに「蜘蛛の糸」状態で、完全に沈む前になんとか逃げおうせたら良いと考えるのは当然です。いや、古い企業なら財務状態は悪そうに見えても、それほど危険ではないと思っている上層部の人もいるでしょう。

一方、別の企業のパナソニックでは、事業部ごとに別会社に分けることが検討されているというニュースが流れています。

EV用の電池事業で立て直そうとしていましたが、もうけ頭になる前に中国の競合他社が迫ってきて、事業が立ち上がる前に激流に飲み込まれようとしています。

家電のように国内の狭い市場で反映してきた企業にとって、世界市場を相手にするのは容易いことではありません。

そのうえ国内市場も低価格品を売りにするニトリやアイリスオーヤマに急き立てられていますから、もっと迅速に製品ごとの施策を実行できる体制に変えていくことは必須なのかもしれません。

今後、日本を代表した大企業にも、強者資本による買収が避けられないのかもしれません。

関税戦争

トランプ大統領が就任後、真っ先に始めるであろうと予想された関税の実施が延期されました。

実施前から世界中の株価が乱高下する様は、まさにトランプ旋風(騒動)です。

合成麻薬の問題は確かに早急に解決しなければならないでしょうが、その解決手法として関税をかけるとは、網が大きすぎて引っかかるものがたくさんありすぎたということでしょう。

しかし、やるといえばすぐに実施に移すあたりは、日本の政治家にも見習ってほしい部分ではあります。

USが関税を操作すると世界中が右往左往します。日本も影響が大きい国の一つでしょう。また例えば中国にUSが関税をかけると余剰品が日本に溢れてしまって、直接関税が書けられなくても多大な影響を受けることになります。

以前はUSのくしゃみで日本が寝込むと言われましたが、今ほど経済のグルーバル化が進んでしまうと、一国の施策が世界中に深刻な影響を及ぼしてしまいます。

経済学者が解説をしても、本当にUSの関税の影響を予測できるのか疑問です。これは世界的な規模での経済実験であり、やってみないと何が起こるのか分からないでしょう。

まだ大統領就任から1ヶ月経つか立たない間で、これほどのインパクトが有る施策が飛び出るのですから、これからの4年間はさぞ目まぐるしく変化する時代になるのでしょう。

知らぬ間に何かを踏み外して、変な方向に各国が一斉に向かってしまうことがないように、警戒する必要がありそうです。

大課長問題

朝日新聞に1月23日に掲載されていた「大課長問題」

課長以上のポジッションに抜擢されても、これまでの課長レベルの細かい指示しか出せない管理職が問題になっているそうです。

10年ほど前から問題視されているそうですが、考えてみればかなり以前からどこの組織にも該当する管理職はたくさんいたような気がします。そりゃ40年も前にもいたような気がします。

ただ、それを問題視するほど世間に人事管理についての理解がなかっただけです。

人事制度は偉い人は出世して給与が上がるという簡単な流れだけしかなく、実際にどのような職務がポジッションごとにあるのかを具体的に示せている職場は殆ど無いでしょう。

ですから、出世するようなそこそこできる人ならば、自分の周りを見回して必要な業務を察するのですが、それができないレベルの人が下手に出世すると、こちょこちょと忙しく末端の業務に口を出すことが管理職の仕事だと決め込むのでしょう。

最近、よく不祥事で社長や責任者の会見が行われることがありますが、ここにも大課長かと思うような社長が登場することが珍しくありません。

平社員から叩き上げの社長によくあるタイプで、いわゆるプロの経営者(これもかなり怪しい部族ですが)とは一線を画していて、ほとんど平課長かと見紛うような会見を見ると、不祥事による事態の重大さを理解できていないのだなと勘ぐってしまいます。

これは何も企業だけに限ったことではなく、政治家や公務員でも同じような状況ではないかと思います。

いわゆる帝王学というか、マネージメント学は日本では教わることはなく、そもそもそのような概念すらないのかもしれません。

一部の一代で企業を築いた社長ではそのようなことにはならないでしょうが、サラリーマンの場合はそれが社長であっても部長であっても、それほど立場にふさわしい人材で溢れていることはないでしょう。いわゆる「人手不足」ではなく「人材不足」。

もちろん社長になれば社長の顔になってくるとは言いますから、立場が人材を作ることも確かですが、それなりに時間もかかりますから、短期的な株価や利益を目指す現代の経営に置いては、経営者が育ちにくくなっているのかもしれません。

もし大課長があなたの上にもいるのなら、その方を育てられるのは部下のあなただけなのかもしれません。

2期目のトランプ大統領

トランプ氏が2期目の大統領就任とは、アメリカ合衆国も変わったものだなと思います。

1期目は偶然選挙に勝ってしまったということもありえますが、2期目ともなれば1期目がそれなりに評価された結果でしょうから、本物のアメリカ合衆国代表と言えるのではないかと思います。

そして、それがUSの代表者にふさわしいとすれば、USの現状はかなり怪しいものに見えてしまいます。

歴代最高齢で就任したとのことです。以前は日本の政治家は老いぼれのヨボヨボばかりだったので、USのは活力あふれる少しばかり若い大統領は新鮮に見えたものです。

そのUSのも歴代最高齢の大統領が就任したということですから、どの世界も人材不足なのでしょう。人手不足ではなく人材不足だということがどの国のどの分野でも起こっているのでしょう。

早速大量の大統領令にサインを始めたそうですが、地球温暖化に逆行する書面に真っ先にサインをするあたりは、これまでの対面を気にした外交からの決別を物語っています。

そもそも地球温暖化を避けるためには、気休めの石油資源の削減などの生やさしい対策ではなく、全産業を止めてしまうほどの策を一定期間講じなければならないのは目に見えています。

ですからトランプ大統領が、自分の資産で月や火星に移住できるぐらいの金持ちを集めて、彼らだけの世界を目指したとしても不思議ではありません。ノアの箱舟の建設が始まったということかもしれません。

日本では目先の貿易やエネルギー関連の話題としてトランプ大統領の動向を伺っていますが、もっと大きな視点で世界の動向を予想して、かつ大胆に行動をする必要があるのではないかと思います。

行き過ぎた多様化

US企業がこれまでの行き過ぎた多様化推進(DEI)を見直すというニュースが流れています。

LGBTQを始めとする多様化を推進する社会動向が、単なる宣伝文句になってしまって、実質的な効果に疑問が出てきているということでしょう。

女性の管理職への登用や大学入学者の中の女性率を高めるといった施策が、日本ではまだまだ不十分と見なされていてまだUSの動向を様子見する感じですが、遠からず同じような風潮が見られてくることでしょう。

多様化ならばこれまで障壁になっていた差別的な施策を取り除くことを進めるはずですが、それでは効果が目に見えてくるのに時間がかかってしまうので、重点的に施策を展開しなければならなくなって、結果として却って新たな差別を生んでしまっているというのが現状だったのかもしれません。

USの主だった企業がこぞってDEIの緩和に進んでいるのは、誰のためにもならないその弊害が無視できなくなっているのでしょう。

企業の管理者や大学の入学者に女性を増やそうといっても、適性や希望を無視して目標を立ち上げたところで誰の幸福にも結びつきません。

適材適所といえば簡単そうですが、誰が適材でどこが適所であるかも判断できない状況では、正解が何であるかも分かりません。

まずは適材と適所を見定めることから始める必要があると思います。