初任給引き上げ

2025年に入って急に初任給引き上げのニュースが相次いでいます。

三井住友銀行が30万円にしたかと思いと、ファーストリテイリングがそれを上回る33万円に引き上げたそうです。

物価の上昇に給与の上昇が追いつかないという、日銀が目指す貧困化のためのインフレが続いていましたから、それが改善されるという期待もあるでしょう。

しかし、これらの企業のように給与を上げる余裕がないところは、そうはいかずにそのうちに淘汰される事になりかねません。

健全な経済活動としては当然なのかもしれませんが、日本の社会は当然がまかり通ると成り立たないことがたくさんあります。

社会が必要としている技術や商品に、適切な価格を乗せられない業界がたくさんあります。

以前に比べて業界団体や組合が弱体化していますから、経済原理主導だけで押し通していくと、いつの間にか社会が成り立たなくなっているということになりかねません。

物事には一長一短が必ずあります。

長所だけに目を向けずに、短所をうまく抑えながら長所を伸ばすバランス感覚が、今の日本には欠けているような気がします。

ホンダと日産の経営統合の勝算

少し前まで自動車産業は、我が国の産業の中で唯一の勝ち組と言われていました。その中でトヨタに次ぐ規模の2社が経営統合するというのですから、驚かないわけには参りません。

確かに日本の自動車メーカーの数が多いとは言われ続けていましたから、そのうちに統廃合の波が来ることは予想されていたでしょうし、トヨタと経営や技術面で提携しているメーカーもありますから、必ずしもメーカーの数だけで議論していては方向を見誤ってしまう可能性があります。

ホンダと日産は買う側からすると全く趣向が異なっていますが、社風自体も全く逆と言えるぐらい隔たりがあるそうです。全く違うからこそシナジー効果があるという意見もあるでしょうが、逆に諍いが永遠に続くこともあるでしょう。

以前銀行の統廃合が進んだときに、いつまでも旧何銀出身であるかこだわり続ける体質が抜けないという問題がありました。自動車業界でも同様のことがあることは容易に理解できます。

ただ、今は社風や趣向といったことを問うている余裕はなく、中国勢力に対抗したりEV化にどう取り組むかなど早急に方向性を出さねければならない問題がたくさんあります。

そして規模の効果をどこまで追求することができるか、単なる重複を削減するだけの経費節減にとどまらない、相乗効果のある施策を早く打ち出す必要があるでしょう。

ニュースでは、圧倒的にホンダが主導権を握って統合が進められるということですが、日産をホンダ色に染めることに専念すれば共倒れになるでしょう。

ホンダと日産のうまいところを高め合っていくことができるかどうかが、この統合の成否を分けるように思います。