実質賃金が減少するわけ

厚生労働省が発表した実質賃金が、物価上昇の影響をもろに受けて、少々の賃金引き上げを吹き飛ばして4.1%減少したとのこと。

円が弱くなって輸入に頼った食料が多いのですから、贅沢をしなくても生活が厳しくなるのは当然で、更に輸入燃料の高騰から電気やガスが高くなるのですから、感覚としては本当に4.1%の減少で済んでいるのかと疑いたくなるほど世知辛くなってきています。

日本人の生産性が世界的に低いとされていますが、確かに大企業の下請け的な立場にいる中小企業では、上から言われたとおりに注文を受けているだけでは自転車操業になりかねません。

価格の決定権を持った中小企業もあるでしょうが、得意分野があって他に有力な競合がいないなどの特殊なケースに限られるようです。

そもそも大企業の生産性が高くて中小企業が低いとされていますが、大企業の中にはほぼ全社員購買担当者のごとく、外注にできるだけ安いコストで作らせて差益をむしり取ることばかりしているところもありますから、大企業が存在できるのは下請け中小企業の低賃金が前提となっていると言えましょう。

大企業を頂点とする階層構造が定着した現状では、賃金が上がるとしても大企業だけで、いつまで経っても低賃金の重労働を中小企業が負わされ続けるのでしょう。

中小企業がデジタルトランスフォーメーションによってビジネスモデルを変革し、下請けから脱して直接受注するような体制にしなければなりません。

賃金の数字を見比べているだけではなく、抜本的に産業構造を変革するような法改正が必要になってきているのではないでしょうか?