雇い止めと定年制

任期付き研究者の雇い止めが問題になっています。

勤続10年を超える場合に、無期契約に転換しなければならないというルールは、いつまでも任期付きで不安定な勤務形態を続けることを是正して、安定した就業形態に近づけることが趣旨のはずでした。

しかし、実際は全く逆のことが起こっていて、安定どころか無になってしまうことが、多くの研究機関で起こっています。

このような自体が起こり始めたらすぐに制度を見直すべきなのに、放置したまま今更技術力が低下していることを嘆いても自業自得と言わざるを得ません。

日本は思った通りに行かない施策(つまり失敗施策)をやってしまった時に、失敗を認めようとしないためにほとぼりが冷めるまで放置することがよくあります。

その結果、手遅れになってから手当をしようとして、無駄な施策に税金を費やすことの繰り返しです。

当の失敗施策を考案した担当者は、その責任を取らずに知らぬ間に昇進している始末です。

研究費が捻出できないと言いながら、相変わらず無駄な税金は一向に減る様子もありません。

かと思えば、無期契約に移行したとしても、定年前に希望退職を募られるかも知れませんから安心はできません。希望と言っても本人の意志はほぼ無視されますから、雇い止めとほぼ変わりません。

一体何を信じて働いていけばよいのか、全くわからない時代になってしまいました。

技術力の低下も、国民の生活の質の低下も、すべてお金がないためならお金を稼がないといけない。しかし、稼ぐ力がもう残っていないのなら、無駄な経費を削減するのが当然でしょう。

しかし、無駄な経費はそのまま放置されて使うべき経費を削減する、政治家の営みはいつになっても前時代的です。