在職老齢年金の考え方

厚生年金をもらいながら同時に働いて給与ももらった場合、合計金額が月48万円を超えると、超えた金額に応じて年金が減額されます。

これは厚生年金に加入しながら働いて給与を受け取る場合だけですから、働いても厚生年金に加入しない(厚生年金保険料を払わない)場合は関係ありません。

しかし、最近はあらゆる業界で厚生年金加入が条件になっていることが多く、この制限にかからないように給与を制限して働く人もいるようです。

一定の金額以上に収入があれば、生活の糧になる年金を減らすというのは、理にかなっているようで、かなっていないようでよく分からない制度です。

年金が生活に最低限必要な金額を、保険として保障するのですから理にかなっているのですが、配偶者の収入によって健康保険や年金の加入が求められるために、仕事を制限するのと同じで、人手不足で高齢者の雇用を勧めるに当たって障害ともなるルールです。

年金を正規に受け取るのは権利で、仕事に応じた給与を受け取るのも権利です。

合計が48万円以上になったら給与が減額されるというのがあり得ない(それなら働く時間を減らす)ですから、年金を減額するのも権利を奪っていることにほかなりません。

年金の支出を減らしたいのなら、48万円を超えた部分については将来に持ち越すのが妥当でしょう。

一生懸命働いたために月48万円を超えても、年金額も含めてそれだけ働いた報酬ですから、そこに手を付けると仕事と報酬の関係性が崩れてしまいます。

自由経済においてあってはならないことで、配偶者の給与制限や年金の所得制限は、最低限の給与を保障する社会主義的な仕組みでしか説明できないでしょう。

人手不足であらゆる手が足りない状況が進むにつれて、就業時間を制限するこれらの制度は早急に廃止するべきだと思います。