大阪万博リングの保存運動

2025年大阪万博の会期も残り1ヶ月を切り、最後の駆け込みで入場予約も取れない活況が続いております。

開催まで盛り上がりがまったく欠けていたのが嘘のように、開催後はうなぎのぼりに人気が高まり、パビリオンはいうに及ばず、最初は気持ち悪がられたミャクミャクグッズの売上でさえ急上昇しています。

連日20万人を超える入場者が詰め掛けたおかげで、並ばない万博だったはずが史上最長の行列が逆に名物になってしまいました。

1970年の大阪万博では、一日で最高83万人の入場があり、当時の新聞に徳島県民と同じ人口が狭い会場に溢れたと記載されていました。

今回の会場では20万人を超えてしまうと、人並みが多すぎてどこが行列なのかも分からなくなりますから、会場の規模的には1970年の万博ははるかに大きかったのでしょう。

ところで閉幕が迫ってきたこともあって、万博リングの保存運動が盛んになってきております。

今日の新聞では関西の大学が団結して、できるだけ多くのリング部分を保存することを要望したことを伝えております。

今でもモノレールから太陽の塔の写真を撮る人を見かける事がありますから、シンボルであるリングをできるだけ残そうという運動に理解を示す人も多いのではないでしょうか?

そもそも1970年の万博でも、太陽の塔が突き破った大屋根と日本館は保存される予定でした。

当初から保存予定の鉄鋼館は今でも残っていますが、大屋根と日本館は保存維持の費用が賄いきれなくなって、万博閉幕後数年で撤去が決まったと記憶しております。

今では大屋根のごく一部だけが切り取られてお祭り広場だった場所に置かれていますが、当時の圧倒的な存在感がまったくなくなってしまっていて、単なる標本としての意味しかなくなっているのが残念です。

その大屋根と今回のリングは、その建造物としての持つ意味はほとんど同じでしょう。

未来的な建造物を予感させる大屋根と、木造でSDGsに根ざそうとするリングは、どちらも万博の遺産として相応しいものです。

ただ、鉄でできた大屋根でさえ数年しか維持できなかったわけですから、木造のリングの維持費用が巨額になるいことは目に見えています。

是非、何分の一を保存するという議論をする際には、毎年の維持費用を誰が何の財源で維持するのかを明確に決めて、財源を確保してから結論を出していただきたいものです。