急いては事を仕損じる

USの輸入関税で言った言わないの議論になっているようです。

そりゃあんなに早急に、USが世界中の国を相手に決めた話が、みんなが納得して理解していることなんてあり得ないでしょう。

そして力関係で押し切られるのです。

USが最後の力を振り絞って、力で相手を負かせられる最後であろうタイミングで取った手ですから、とんでもなく相手国に不利になるのは目に見えています。

しかしいつも不思議に思うのは、税金に関する話題は収入か支出のどちらか一方だけの話が盛り上がってしまって、収支を合わせるという感覚に乏しいことです。

例えば日本政府が交付金をばらまくと言った際に、そのメリットとデメリットが対比して討論されるべきなのに、その恩恵を受ける人とそうでない人がいがみ合うだけで、議論が熟す前に実行に移されてしまうことが多々あります。

USの輸入関税の場合はUSが増税するわけですから、その増収分はUSの国家の懐に入るわけです。最初の頃トランプ大統領はUS全国民の所得税をゼロにする事ができるなどと吹聴していましたが、一向にその気配はありません。

アメリカ・ファーストと入っているものの、このままではUS国民は置き去りにされて、国家権力だけが不法な収入にまみれて腐敗していくのは目に見えています。

しかも、その増税の原資は輸出している企業が大部分を負担するということですから、これは世界中の経済圏の企業がUSの政府に莫大な献金を渡すことと同じことです。

もうこれがまかり通ってそれに誰も疑問を呈さないとすれば、そこには関税や自由貿易は言うに及ばず、経済や法律や技術までを含めてそれらの存在意義を否定することになるでしょう。

目先の税率を足し算引き算で一喜一憂している場合ではありません。

産業革命以来の世界の秩序、産業、社会が根底から覆されようとしています。