並ばない万博とは?

大阪万博2025年が開幕して、先週末のニュースは開会式や開幕後の会場の様子を伝えるニュースで溢れていました。

天候不順のためブルーインパルスの演技がなかったり、雨の中1万人の大合唱がカッパ姿だったりして、想定内とは言えうまく行かないことも多々あったようです。

並ばない万博を標榜して、目一杯スマホを活用した予約システムを屈指したようですが、案の定回線がパンクするエリアがあって入場すらできない事もあったとか。

半年の短い開催期間ですから、準備不足もあって予想外の事態が起こるのは仕方がありません。

ところで、並ばない万博を目指したということですが、並ぶか並ばないかは各パビリオンの処理能力や会場全体の入場者数に左右されるはずで、いくらスマホで予約を取れるようにしたところで、並ばなければならない状況は発生しうるわけです。

ですから「並ばない万博」などと根拠のないモットーを掲げるよりは、効率的な拝観や計画的な周遊を目指す方向に振ったほうが良かったのかもしれません。

そのそもパビリオンの人気は、人気ラーメン店の評判と同じように待ち時間が最も分かりやすい指標です。

1970年の大阪万博でも、最も待ち時間が長かった日立館や三菱未来館、みどり館などは連日3時間待ちの行列が続いていて、それが人気のバロメーターでした。

実際、体験して面白かったか内容が充実していたかどうかは、人気とはあまり関係がなく、「こんなに並んで観られたからそれで満足」となってしまうのが常です。

まだパビリオンの評価が出始めたところですが、そのうち人気パビリオンの評判も定着していくるでしょう。

あまり回遊性が高いパビリオンより、処理能力が低いパビリオンの方が待ち時間が長くなって人気があるように見えるものです。

待ち時間とともに、「未来表現度」。「ワクワク度」みたいな内容を評価した尺度も、一緒に見比べられるようにしたら面白いかもしれません。

低調だった万博人気に、やっと火が着いたようです。

相互関税からiPhone外したら意味がない

USのトランプ大統領が意気揚々と掲げた相互関税から、iPhoneをはじめとするTech製品を軒並み外すという。

なんというだらしのなさ。

トランプ大統領は、iPhoneをUS国内で生産していたとでも思っていたのでしょうか?

iPhoneに限らずSSDや半導体製造装置など、ほとんどの高度工業製品を相互関税の対象から外すという、最初から分かっていた結果かもしれませんが、あまりにもお粗末な対応です。

USの産業の空洞化がここ数十年にわたって継続していたために、ほとんどのハイテク製品を作る能力を失っています。80年代ならまだ復元できたかもしれない工業生産能力も、ここまでほったらかしで中国や新興国に生産を任せていたのですから、今更手を施す事ができないレベルまでに工業レベルが低下してしまったのです。

アップルがiPhoneの企画や設計をすることができても、それを実際に実現するための生産は全くUSにできません。USのIT貿易黒字は、中国などの生産国の助けがなければ成り立たないことをやっと思い知ったことでしょう。

トランプ大統領は貿易赤字を減らそうと躍起になていますが、そもそも設けが少ない製造工程を海外に追い出したのはUS企業です。今になって急に貿易赤字が嫌だと騒いでも自業自得、後の祭りです。

実際に10%程度の輸入関税を継続して、USの企業に国内生産回帰を促すことが必要でしょうが、それは過去のUSに戻ることを意味しています。

果たしてそれがUSの理想なのでしょうか? それさえも果たして実現できるか不明です。

これはUSのだけに限りません。日本に生産能力はあるのでしょうか?

今や日本製の工業製品は少なくなっています。以前なら生産ラインに並んで細かい製造作業をしていた日本人の姿を見かけましたが、今の日本では製造ラインが少なくなりましたし、あったとしても製造要員は海外からの移民に頼っている所も多いようです。

はっきり行って、USの労働者の質が生産工程に耐えられるレベルよりかなり低いでしょうし、そもそもできる人が限られているでしょう。一旦楽な仕事に慣れた国民を、3Kと言われる製造現場に引き戻すのは至難の業です。

製造を取り戻す、新しい社会の試練に挑戦しなければなりません。