自動運転の自家用車とは?

世界中で未来の技術として注目を集めている自動車の自動運転。

バスやトラックなどの運転手不足や、交通渋滞や交通事故の低減など、期待される効果は様々ですが、概ね好意的に捉えられているようです。

日本も老人人口が増えてきて免許証の返却も増えてくるでしょうから、プロだけでなくアマチュアの運転手も減少傾向にあるのでしょう。

自動運転技術は、社会の要請に合った期待される技術なのでしょうが、一方で自動運転になったら何も自家用車である必要はないじゃないかという意見が出てきます。

トヨタ自動車のCMなどでも”Fun to Drive”が叫ばれていて、自動車を保有する目的の一つに運転をする楽しみがあるのは確かです。

しかし、自動運転が当たり前になってくると、運転を楽しむのは一部の愛好家の趣味になるかもしれません。昔ならマニュアルミッションを駆使して峠を走り抜けるのが運転の醍醐味だという人もいましたが、すでにオートマティックでその醍醐味も薄れてしまいました。

時代の流れは人間が怠惰になるように仕向けますから、運転が面倒と考える人が多くなるかもしれません。

そうなると自家用を保有する意味もなくなっていき、自動運転のタクシーで十分だということになります。

そこで困るのが自動車メーカー!

今の世界中の自動車の稼働率は5%程度だと考えられ、遺り95%は駐車場のスペースを浪費しているだけだと言われます。単純計算で自家用車の台数は20分の1に減ってしまいます。

近年EUでは、自動車のためのインフラ、つまり駐車場や自動車専用道路が社会資源を無駄に消費しているという意見が勢力を増しています。

20世紀は自動車が世界の産業のトップに君臨していましたが、自動運転技術よって自動車メーカーが自分の首を絞める事になるかもしれません。

並ばない万博とは?

大阪万博2025年が開幕して、先週末のニュースは開会式や開幕後の会場の様子を伝えるニュースで溢れていました。

天候不順のためブルーインパルスの演技がなかったり、雨の中1万人の大合唱がカッパ姿だったりして、想定内とは言えうまく行かないことも多々あったようです。

並ばない万博を標榜して、目一杯スマホを活用した予約システムを屈指したようですが、案の定回線がパンクするエリアがあって入場すらできない事もあったとか。

半年の短い開催期間ですから、準備不足もあって予想外の事態が起こるのは仕方がありません。

ところで、並ばない万博を目指したということですが、並ぶか並ばないかは各パビリオンの処理能力や会場全体の入場者数に左右されるはずで、いくらスマホで予約を取れるようにしたところで、並ばなければならない状況は発生しうるわけです。

ですから「並ばない万博」などと根拠のないモットーを掲げるよりは、効率的な拝観や計画的な周遊を目指す方向に振ったほうが良かったのかもしれません。

そのそもパビリオンの人気は、人気ラーメン店の評判と同じように待ち時間が最も分かりやすい指標です。

1970年の大阪万博でも、最も待ち時間が長かった日立館や三菱未来館、みどり館などは連日3時間待ちの行列が続いていて、それが人気のバロメーターでした。

実際、体験して面白かったか内容が充実していたかどうかは、人気とはあまり関係がなく、「こんなに並んで観られたからそれで満足」となってしまうのが常です。

まだパビリオンの評価が出始めたところですが、そのうち人気パビリオンの評判も定着していくるでしょう。

あまり回遊性が高いパビリオンより、処理能力が低いパビリオンの方が待ち時間が長くなって人気があるように見えるものです。

待ち時間とともに、「未来表現度」。「ワクワク度」みたいな内容を評価した尺度も、一緒に見比べられるようにしたら面白いかもしれません。

低調だった万博人気に、やっと火が着いたようです。

相互関税からiPhone外したら意味がない

USのトランプ大統領が意気揚々と掲げた相互関税から、iPhoneをはじめとするTech製品を軒並み外すという。

なんというだらしのなさ。

トランプ大統領は、iPhoneをUS国内で生産していたとでも思っていたのでしょうか?

iPhoneに限らずSSDや半導体製造装置など、ほとんどの高度工業製品を相互関税の対象から外すという、最初から分かっていた結果かもしれませんが、あまりにもお粗末な対応です。

USの産業の空洞化がここ数十年にわたって継続していたために、ほとんどのハイテク製品を作る能力を失っています。80年代ならまだ復元できたかもしれない工業生産能力も、ここまでほったらかしで中国や新興国に生産を任せていたのですから、今更手を施す事ができないレベルまでに工業レベルが低下してしまったのです。

アップルがiPhoneの企画や設計をすることができても、それを実際に実現するための生産は全くUSにできません。USのIT貿易黒字は、中国などの生産国の助けがなければ成り立たないことをやっと思い知ったことでしょう。

トランプ大統領は貿易赤字を減らそうと躍起になていますが、そもそも設けが少ない製造工程を海外に追い出したのはUS企業です。今になって急に貿易赤字が嫌だと騒いでも自業自得、後の祭りです。

実際に10%程度の輸入関税を継続して、USの企業に国内生産回帰を促すことが必要でしょうが、それは過去のUSに戻ることを意味しています。

果たしてそれがUSの理想なのでしょうか? それさえも果たして実現できるか不明です。

これはUSのだけに限りません。日本に生産能力はあるのでしょうか?

今や日本製の工業製品は少なくなっています。以前なら生産ラインに並んで細かい製造作業をしていた日本人の姿を見かけましたが、今の日本では製造ラインが少なくなりましたし、あったとしても製造要員は海外からの移民に頼っている所も多いようです。

はっきり行って、USの労働者の質が生産工程に耐えられるレベルよりかなり低いでしょうし、そもそもできる人が限られているでしょう。一旦楽な仕事に慣れた国民を、3Kと言われる製造現場に引き戻すのは至難の業です。

製造を取り戻す、新しい社会の試練に挑戦しなければなりません。

貯蓄が駄目なら投資も駄目!

老後2000万円問題に発する貯蓄から投資への誘導ですが、最初から怪しかったわけです。

そもそも経済が膨張しているから(つまりインフレ)貯蓄に利息がつき、銀行は資金を融資してさらにたかい融資金利を稼ぐわけです。

ところがデフレになって利息が下がってくると、貯蓄では利息が付かないので投資をしろとiDeCoやNISAと勧めてくるわけです。

ですが金利が下がるのは投資しても儲けがなくなっているからですから、素人が銀行に変わって投資をしたところでうまくいくわけがありません。要するに体の良いギャンブルです。

確かに売買益に対して所得税がかからない点は優遇されていますが、それは過去に投資液に対して高すぎる所得税をかけていたから得に見えるだけで、基本的に儲かる状況に世の中が変わったわけではないのです。

トランプショックで数日で急落した株相場ですが、NISAの勧誘に断りきれなくなって振り回されている素人投資家には、半年ごとの試練に耐え続けなければならないのは、金利を待っていればよいだけの貯蓄に比べるとストレスの掛かる作業に違いありません。

投資を娯楽と捉えて楽しめる人は良いのですが、本気で老後資金を残すためにやるにはリスクが高すぎると言えましょう。

入ってくるお金を2倍に増やすのは大変難しいです。だって誰もがたくさん入ってきて欲しいので奪い合いになりますから。

しかし、使う金を20%削減するのはどうでしょうか?

投資のリスクを負って収入を25%増やすギャンブルをするより、生活費を20%削減する方が安全で確実です。

プロの投資家は、失敗しても給与が減るだけで生活はできますが、素人は投資に失敗すると生活ができなくなります。

決してリスクを軽視しないように心がけたいものです。

経済の化けの皮

いろいろなバブルの弾け方がありますが、今回のような弾け方は誰も予想すらしていなかったのではないでしょうか?

まあ予想ができるようならそもそもバブルにはならない訳ですが、これほど激しく株価が暴落するとは、まさかここまでという感想を持つ方が多いのではないでしょうか?

さすがにUS国内でもトランプ大統領の奇策にデモが頻発しているようですが、USの復権をもたらす救世主なのか単なるデストロイヤーなのか、判断が難しくなってきました。

この状況を見てよく分かるのは、経済などというのは物的に存在しないものに値を付けて、いかにもお金を出して欲しがるように見せかける幻のようなものだということです。

もちろん物的に存在するものでも、新しいうちは価値があっても古く使い古されればすべてゴミにしかなりませんから価値が消えていくのは同じですが、そう1日や2日で幻のように消えていくのは経済の宿命と考えるべきでしょう。

体制や法律が変化すれば、それに伴い物事の価値が大きく変わることはよくありますが、関税の操作一発で世界中がひっくり返る様は、それほど複雑なことをしなくても世の中を変えることができるということかもしれません。

もう経済評論家も支離滅裂、ちゃんと解説できている論説はありません。

初めて目にする経済の例題を、誰が最初に解き明かすのかが見ものです。