スマートシティとは?

皆さん、スマートシティってどの程度、理解と期待をされておられるでしょうか?

最近、仕事上の必要性からスマートシティに関するソフトウェアを調査しているのですが、その肝となるのがFIWAREです。

フューチャー・インターネット・ウェア(Future Internet Ware)という、分かりやすいと言えば聞こえは良いですが、昔から「フューチャー~」というものにはろくな物がありませんでしたから、あまり大きな期待は禁物です。

都市の機能をITによってスマートに解決するということのようですが、都市の機能って何でしょうか?

最近の話題だと下水道の老朽化の問題がありますが、ITでは到底解決できない大問題が地方自治体には溢れています。

スマートシティを目指すには、これらの問題を解決する方が重要だと思うのですが、それはさて置いて(さて置く訳には行きませんが)、一方でスマートシティを目指す活動が日本に限らずEUを中心に盛んになってきております。

その根底には、GAFAによって世界中のデータが牛耳られているのに対抗して、EUがデータ管理の覇者を目指すという目論見があるようです。

確かに今は何でもググればたいてい必要なデータを探すことができますから、データを牛耳られてその恩恵は一部の巨大IT企業のものになっているのは確かです。

しかし、都市とスマート化してそこからデータを吸い上げたとして、Googleが香竹したデータベースに比較して価値のあるものになるでしょうか?

地方自治体で活用が進められているのは、地方の自然災害や災害発生時の避難に関するデータの収集で、それらは公共事業としては価値があるかもしれませんが、そこにいくら投資したところでなにか価値を生み出して人類が幸せになるとは思えません。

単に意味がなく捨てることもできない大量のデータを保持するために、巨大なデータセンターのリソースに税金を費やして、一部のIT企業を潤すだけに終わってしまうように思えます。

FIWAREをの実証実験を4年間に渡って行ったらしいですが、結果としてデータの提供が十分でなく、また提供されたデータを流通して活用することはできなかったそうです。

何事も最初から成果が出るとは限りませんから、まだまだこれから改善できる可能性は否定できませんが、ただ単にデータを提供してもらってデータベースを開放すれば、人が喜んで自然に集まって来るというのは幻想であるということを理解すべきでしょう。

スマートシティの筋書きを、しっかりと考え直す時期に来ていると思います。

災害をハイテクでサポートできるか?

日本に住んでいて、日本は安全な国だと思っている方が大半だと思います。

しかし治安はともかく、災害に関するリスクは世界の中でも結構高いようです。

そこで災害を想定した避難訓練が各地で実施されているのですが、その中で最近流行のスマホとAIを使った避難ナビゲーションなるものが注目されています。

最近ニュースで見たのですが、デジタル放送中のテレビ画面に災害状況が表示され、地域ごとにアレンジされた適切な避難場所が指示されるらしいです。

またリアルタイムな避難指示がスマホやタブレットから出されるので、それを見ながら指定された避難場所に家族が集まるという仕組みです。

確かに阪神大震災のときに、被災した家屋にいた家族がどこの避難所にいるのか、近所の人に教えてもらって避難所になっていた幼稚園で再開できたという話を聞いていますから、災害後に家族が居場所を探すときに、何らかのシステムで情報が共有できれば良いのは確かです。

しかし、家でテレビを視聴していて、災害時にテレビ放送が継続して電気も止まらない想定では、そもそも避難する必要がないかもしれません。

電気やガスのインフラや、通信網が十分使える状態を想定した避難訓練もある程度意味があるのかもしれませんが、少なくとも阪神大震災のときにはせいぜいラジオしか情報を得る手段がなかったのですから、携帯電波が機能する前提の非常時システムは意味をなさない可能性が高いのではないでしょうか?

確かに近年は通信網の整備やスマホの進歩にゆだねられる事が多いので、何か新しいことを考えようとすると、どうしてもスマホや携帯電波網に頼らざるを得ないのかもしれません。

しかし、災害時に一番障害になるのはインフラの崩壊です。

電気、ガス、水道がない状態で如何に生活を続けることができるかを考えなければ、いつものように何でもスマホが答えを出してくれると考えてはいけません。

できるだけ原始的で、乾電池数本で可能な程度のローテクで構築することが、災害時のシステムに求められているのではないでしょうか?