行き過ぎた多様化

US企業がこれまでの行き過ぎた多様化推進(DEI)を見直すというニュースが流れています。

LGBTQを始めとする多様化を推進する社会動向が、単なる宣伝文句になってしまって、実質的な効果に疑問が出てきているということでしょう。

女性の管理職への登用や大学入学者の中の女性率を高めるといった施策が、日本ではまだまだ不十分と見なされていてまだUSの動向を様子見する感じですが、遠からず同じような風潮が見られてくることでしょう。

多様化ならばこれまで障壁になっていた差別的な施策を取り除くことを進めるはずですが、それでは効果が目に見えてくるのに時間がかかってしまうので、重点的に施策を展開しなければならなくなって、結果として却って新たな差別を生んでしまっているというのが現状だったのかもしれません。

USの主だった企業がこぞってDEIの緩和に進んでいるのは、誰のためにもならないその弊害が無視できなくなっているのでしょう。

企業の管理者や大学の入学者に女性を増やそうといっても、適性や希望を無視して目標を立ち上げたところで誰の幸福にも結びつきません。

適材適所といえば簡単そうですが、誰が適材でどこが適所であるかも判断できない状況では、正解が何であるかも分かりません。

まずは適材と適所を見定めることから始める必要があると思います。

初任給引き上げ

2025年に入って急に初任給引き上げのニュースが相次いでいます。

三井住友銀行が30万円にしたかと思いと、ファーストリテイリングがそれを上回る33万円に引き上げたそうです。

物価の上昇に給与の上昇が追いつかないという、日銀が目指す貧困化のためのインフレが続いていましたから、それが改善されるという期待もあるでしょう。

しかし、これらの企業のように給与を上げる余裕がないところは、そうはいかずにそのうちに淘汰される事になりかねません。

健全な経済活動としては当然なのかもしれませんが、日本の社会は当然がまかり通ると成り立たないことがたくさんあります。

社会が必要としている技術や商品に、適切な価格を乗せられない業界がたくさんあります。

以前に比べて業界団体や組合が弱体化していますから、経済原理主導だけで押し通していくと、いつの間にか社会が成り立たなくなっているということになりかねません。

物事には一長一短が必ずあります。

長所だけに目を向けずに、短所をうまく抑えながら長所を伸ばすバランス感覚が、今の日本には欠けているような気がします。