少し前まで自動車産業は、我が国の産業の中で唯一の勝ち組と言われていました。その中でトヨタに次ぐ規模の2社が経営統合するというのですから、驚かないわけには参りません。
確かに日本の自動車メーカーの数が多いとは言われ続けていましたから、そのうちに統廃合の波が来ることは予想されていたでしょうし、トヨタと経営や技術面で提携しているメーカーもありますから、必ずしもメーカーの数だけで議論していては方向を見誤ってしまう可能性があります。
ホンダと日産は買う側からすると全く趣向が異なっていますが、社風自体も全く逆と言えるぐらい隔たりがあるそうです。全く違うからこそシナジー効果があるという意見もあるでしょうが、逆に諍いが永遠に続くこともあるでしょう。
以前銀行の統廃合が進んだときに、いつまでも旧何銀出身であるかこだわり続ける体質が抜けないという問題がありました。自動車業界でも同様のことがあることは容易に理解できます。
ただ、今は社風や趣向といったことを問うている余裕はなく、中国勢力に対抗したりEV化にどう取り組むかなど早急に方向性を出さねければならない問題がたくさんあります。
そして規模の効果をどこまで追求することができるか、単なる重複を削減するだけの経費節減にとどまらない、相乗効果のある施策を早く打ち出す必要があるでしょう。
ニュースでは、圧倒的にホンダが主導権を握って統合が進められるということですが、日産をホンダ色に染めることに専念すれば共倒れになるでしょう。
ホンダと日産のうまいところを高め合っていくことができるかどうかが、この統合の成否を分けるように思います。