自民党の総裁選では、これまで中途半端な議論だけで結論が出ないままになってきた案件を引っ張り出して、さもそれを一気に解決することを公約のようにのたまう候補者がいます。
人材の流動化もその一つで、会社に使えない人材が滞留するのは人材の流動化が進んでいないためだというのです。
経営者というのは身勝手なもので、近年人材を育成するより、中途採用やアルバイトで必要なスキルを持った人を集めることに疑問を持たなくなっています。
ですから、他社と差別化することができず、どんぐりの背比べにならざるを得ず、将来的に経営がすぼんでしまうのです。
人材の流動性と政治家が言うときは必ず経営者の顔を見ながら言っているので、いかに迅速に不要な人材を首にできるかを競い合うのです。
それでは「人材の流動化」ではなく「使い捨て化」に過ぎません。(せめてリサイクルはしてくれ!)
ところで最近企業では、パワハラやカスハラ、セクハラにアカハラなどのハラスメント禁止教育が盛んです。政治や行政の分野ではどれぐらい熱心にハラスメント禁止教育をされているのでしょうか?
おそらく全く進んでいないと思われ、そのことが人材の流動性を簡単に宣伝文句として採用してしまう軽率な行動に表れているのだと思います。
総裁候補者が唱える公約はどれもが地雷のようなものです。
「それは言っちゃいかんだろう」みたいな標語のオンパレードですから、この先も日本は暗澹とした日々が続くのでしょう。
国民としては、少しでもマシな候補者が選ばれることを望むだけです。