今、路線バスやタクシーの運転手のなり手がいないために、バス路線を廃止したり繁華街のタクシーを増やせないという問題があります。
それら以外の職業でも、以前なら問題にならなかった人手不足が深刻になっていて、一体人々はどこで働いているのだろうと疑問に思ってしまいます。
ホンダが自動タクシーをGMと共同で開発して2026年に走行を開始する予定だそうですが、確かにタクシーの運転手がいなければ自動運転を早急に開発する必要があるでしょう。
タクシー会社が自動運転車を購入して運行したら、タクシー会社としては利益も出て経営者にはこれまでと変わらないかもしれませんが、運転手はもう必要ありません。
同様のことが産業のあらゆる場面で起こっていけば、労働者が自動化されて消えていき、経営者だけが残ってお金を稼ぐ訳です。
そこにいた労働者は、何らかの方法でお金を稼がないと自動化されたタクシーやバスに乗ることができません。
世の中にはお金を持っ経営者である富裕層と、仕事もお金もない貧困層に分かれてしまうことになります。
それはそのはずで、機械化によって自動化されれば業務は全て機械がこなすわけですから、人間の仕事はありません。
人間がする仕事は、自動化された設備に投資するだけです。何らかの方法でお金を調達できる人でなければなりません。
これまでの社会では、学歴や知識や技能があればお金を稼ぐことができましたが、それらは全て自動化に飲み込まれてしまって、意味があるのはお金だけになります。
市場経済の成れの果てと言えば、経済学者などはとっくの昔に予想していたのでしょうが、現実が近づいてくると、なるほどと頷いているどころではありません。
自然科学のイノベーションでは経済に結びつくことしか価値がないので、この状況を打破できないでしょう。
何らかの社会科学的なイノベーションが必要です。
世界を見ていても、未だにこれまでの経済学に基づいた理論や推論に留まっています。
ノーベル賞級の社会変革が待ち望まれています。