出生率と社会負担率

少子化が社会問題となって久しいですが、その間原因についていろいろ検討されてきました。

女性の高学歴化による社会進出で結婚年齢が上がり成婚率が下がったためだとか、正規雇用者が減ったとか、子どもが生まれても保育施設が足りないために安心して子どもを産めないとか。

確かにそれぞれ関連はありそうで、それらを解決すれば少子化の対策になりそうな気はしますが、どうも少し違うような気もします。

東洋経済オンラインの記事で、社会負担率の上昇が一番根本的な原因ではないかと問いかけています。

見た目の給与が上がっても、社会負担がそれ以上に増えれば実質可処分所得は少なくなりますし、正規雇用だからといって社会保険料が天引きされ、必ずしも十分な給与を得ているとは限らないようです。

特に最近は共稼ぎが標準になってきており、2人の稼ぎを合わせて生活できればよいという風潮になっています。

先日、マンション価格が2人分のローンを借りることを前提に価格を決めているのではないかと書きましたが、子どもを養う以前に生活自体がギリギリになってきています。

ところで、一般的に社会生活を改善するためには、生産性を上げることを目指します。生産現場は言うまでもなく、管理部門でも生産性の向上は企業では必須です。

しかし、政府や地方自治体ではどうでしょうか?

デジタル化を進めると豪語してみたものの、マイナンバーカードでの非効率な作業はどう見ても生産性が上がっているとは思えず、マイナンバーカードが便利になると宣伝はしたものの、マイナポイントで国民を釣るしか普及の方法がないというのは、便利になるということがまやかしでしかないことを物語っています。

おそらく感覚では、政府と地方自治体の業務の8割方は削減できるのではないでしょうか?

社会負担率が5割に迫り、「サラリーマン一揆」が起こっても不思議ではないレベルに達しようとしている現在、社会負担率を5割から4割、いや3割に抑えるための生産性の改善を、政府が約束する必要があるのではないでしょうか?

まずは、政府と地方自治体の生産性を計る尺度を設けるところから始めてはいかがでしょうか?

協会けんぽの40万人がマイナンバーに紐づけできず

朝日新聞DIGITALに「マイナ保険証、40万人ひもづけされず 利用できない状態」というニュースが掲載されています。

最大規模の健康保険組織である協会けんぽで、本人から申請されていないなどの理由によって、約1%に当たる40万人のマイナンバーが紐づけできていないというニュースです。

40万人分というとすごく多いように感じますが、1%だと聞くと少ないように感じます。

40万人のうち、マイナンバーカードを発行している人の割合も気になるところですが、このニュースを聞いて気になったことがあります。

よくマイナンバーカードと健康保険証の紐づけが問題になりますが、健康保険証は一生同じ番号であるわけでなく、退職や転職によって割と頻繁に変わることがあります。

転職をしなくても、健康保険制度が変更されるだけで健康保険証自体が再発行される場合がありますから、かなり多くの人が毎年のように新しい健康保険制度に移り変わっていることでしょう。

特に最近は転職が珍しくありませんし、扶養家族が増えた・減ったときにも入れ替わりがあります。

自動車免許のように新しく資格が増えても同じ免許番号が継続されるなら、紐づけをやり直す必要はありませんが、健康保険は就職、転職、結婚、退職などの人生の転機ごとに加入先が変わる可能性が高く、その度にマイナンバーカードへの紐づけをやり直さなければなりません。

その手続きを忘れたり申請に時間がかかったりすると、現在と同じ問題が頻発することになりかねません。

そもそも、転職などによる健康保険証の再発行には今でも月単位で時間がかかっており、その上に紐づけのタイムラグがあったりすると、これまた医療機関で健康保険証として使えないマイナカードになってしまいます。

政府がマイナンバーカードに統合する相手を間違えたのは明らかで、少なくとも統合する順番はもう少し熟考するべきだったのではないでしょうか?

政府がそれを承知で健康保険証をマイナカードに統合しようとしているとしたら、国民の便宜性以外に健康保険証を統合する目的があったのかもしれません。

今問題になっている健康保険とマイナカードの紐づけ問題は、結局いつまで経ってもスッキリ解決はしないのだろうと思う次第です。