ここ15年ほどで新築マンション価格が4600万円から6300万円に上っていて、さらに一部のタワーマンションなどでは天井知らずの高額物件が分譲されていて、一体誰が買うのかと疑問を投げかけるニュースがInfoseek Newsに掲載されています。
数十億円にも及ぶ高額物件については、どうせ中国の金持ちが買っているのだろうと予測できますが、6300万円のマンションの購入層の方が気になります。
40年ぐらい前の庶民が購入するマンションは、せいぜい2000万円から3000万円ぐらいで、銀行ローンを1500万円ぐらい借りて、残りは頭金として現金を用意するというのが普通でした。
普通というのは、その程度の資金計画でないと、その後のローン返済が滞る可能性が高くなるためで、頭金を貯めるまでは賃貸で我慢するというのが当時の住宅購入事情でした。
ところが、昭和の後期ぐらいから、マンション購入時に親が無税で贈与することを推奨するようになり、同時に頭金に現金を用意することが廃れていき、全て親からの贈与とローンだけで購入するケースが増えていきました。
そのうちに親が段々と子世帯のマンション購入を援助する余力がなくなって来る頃には、女性の社会進出が本格化して、結婚するときも男女同じぐらいの稼ぎがある世帯が増えていきます。
そうなると、今度はローンを2人分借りることができるようになり、ローンの限度額も知らぬ間に3000万円程度に増額されていて、合計6000万円がローンだけで賄えるようになってしまいます。
それに少しばかりの手付金程度で買える金額が、マンションの相場になってしまっているのです。
そこにはマンションの商品価値や、土地の不動産価値の計算はないく、ただ単に購入層が出せる金額の最高額が6000万円超だということが、新築マンション価格決定の要因になっています。
建築コストや社会インフラコストを積み上げた意味のある金額ではなく、単にマンションデベロッパーが想定した購入者が用意できる最大の金額に設定されているように思えるのです。
ですから、購入者がその後転職して給与が下がったり、リストラされたり離婚したり、ローンの支払が少しでも厳しくなった途端に破綻します。
マンションを売ろうとしても、最初のマンション価格が資産の価値から計算されたものではありませんから、中古住宅市場での評価は期待より大幅に下回ることが多く、ローンがあっても負債、売っても負債、どっちに転んでも残るのは借金だけです。
それはそうでしょう、ローンで借りて買ったとしても、ローン金額以下の価値しかないものだったら、買った瞬間に借金しか残らないのは当然です。
人口が減っているのに、都市部ではどんどん新築マンションが供給されています。
本当にその金額に見合う価値があるかどうか、見極める力がなければなりません。