複雑なものには罠がある!

だいたい世の中の複雑になっているものには罠があります。

本質を見抜けないように複雑な仕組みにしておくと、罠に気づかれずに人を騙すことができます。

もし、あなたが他人を騙そうとして、簡単に見抜ける罠を仕掛けますか? もし地面に罠を仕掛けるなら、葉っぱや土でカモフラージュしますよね。

ですから世の中で複雑だなと思うものには、簡単に見抜けないようにしているだけのことが多いです。

例えば税金の話。

確定申告をしてみれば分かりますが、たかだか数枚のエクセルの表があれば結果が出る程度のことですが、それを如何にも複雑なもののように見せて、税理士の先生でなければすべてを理解できないぐらいに複雑で高等なもののように見せかけています。実際はいくつかの算数の式の組み合わせに過ぎません。

もちろんその計算の根拠になる数式を決めるためには、経済学や社会学、歴史や産業の仕組みが関わっているのでしょうが、税金の話に落とし込んだら後は加減乗除だけで解決します。

それに年金問題。

これはやはりその年齢にならなければ真剣に考えることもありませんから、サラリーマンなら定年が間近にならないと年金額を気にすることもないでしょうし、ねんきん定期便も他人事のように思う人が多いのではないでしょうか?

これもやたら複雑になっていますが、色々な例外や後から追加された制度などでごちゃごちゃになっているだけで、やはり算数の問題に過ぎません。

でも複雑で分かりにくくしておかないと、問題が起こったときになぜだなぜだと非難轟々になりますから、できるだけ理解できる人を少なくするために、日本人の知能程度を考慮して十分に分かりにくくしておく必要があるのでしょう。

最近色々と問題を起こしているマイナンバーカードにしても、戸籍や健康保険の制度を古いまま、複雑なままでデジタル化を無理やり取り込もうとするから、無駄な労力が発生する割には先に進まない訳で、まず戸籍や健康保険制度をデジタル化に対応できるように前処理をしてから、マイナンバーカードに統合する必要があったと思います。

すべての戸籍で使われている漢字を、新しい文字コードを振ってフォントも作ってデジタル化するなんて、それはデジタル化ではなくデジタルでアナログを無理やり表現しているだけ!

「デジタイズ」には「サンプリング」という処理が必要ですから、まず元のデータをサンプリングするところから始めるべきでしょう。

このようなことは十分理解している人が、省庁や開発メンバーにもいたと思います。しかし、流れに任せてしまった方が楽だという大勢の考えが、現状を招いたのではないかと思います。

複雑は仕組み、複雑な社会は国民への挑戦だと思って、絡まった糸を解きほぐすように我慢強く、生き抜いていくことが必要なのでしょう。

メーカーがドライブレコーダーを標準装備しない理由

最近は、事故のたびにドライブレコーダーの記録が精査され、事故の原因を探ったり他の事故の報道に画像が使用されることが増えて、ドライブレコーダーが必須アイテムになった感があります。

それほど記録を取ることに意味があるなら、とっくに自動車メーカーが標準仕様として装備していても不思議ではありませんが、今だに後付のオプションになっている場合が多いようです。

ドライブレコーダーと聞けば、同じ響きのものにフライトレコーダーがあります。

飛行機の各機器の状況や速度、高度や無線通信の会話を記録していて、墜落事故が起こればまずフライトレコーダーを回収して解析することが常になっています。

航空機事故は、自然環境によって起こることもありますが、航空機自体の欠陥や操縦士のミスが引き起こすことが多いので、フライトレコーダーから事故の原因を調査した場合、航空機メーカーの責任がはっきりするケースがあります。

現在のドライブレコーダーは、映像と音声だけを記録するに過ぎませんが、車に標準装備するとすれば、当然自動車の状態、例えばエンジン回転数やブレーキペダルの踏み圧、ハンドルの切り角やランプの点灯状態など、運転状況を記録することが求められるでしょう。

今よりコストアップする要因になりますし、自動車の設計ミスを如実に示す兆候も記録されることもあるでしょう。

長らくオートマティックの操作ミスと言われていた始動直後の急激なバック事故や、アクセルとブレーキを間違えたとされる事故が相次いでいましたが、それらがドライブレコーダーの標準化によって運転者のミスなのか、自動車メーカーの設計ミスなのかが記録されてしまいます。

自動車メーカーとしては、これまで適当に運転者の責になっていた事故の責任を負わされる可能性があります。

だからメーカー標準品として、ドライブレコーダーを付けたくないわけですね。

しかし、これほど注目を浴びて装着率が高くなっていますから、これからは標準装備化が否応なしに進められることでしょう。

自動車メーカーは、製品の品質データーが自動的に集められる機会と覚悟して、積極的に装備の充実を図っていただきたいものです。