加古川市にあったストリートピアノが、利用者のマナーの問題で撤去されたというニュース。
これについていろいろな意見があるようで、日本人のマナーの低下や規則遵守の風潮が薄れてきたという意見とともに、ストリートピアノ自体が日本の文化的に受け入れられていなかったのではないかという意見もあるようです。
1980年代にまだ若かりし頃のトム・ハンクスが主演した「Big」という映画がありました。
13歳の少年が早く大人になりたいと願ったところ、急に20代のおとなになってしまい、おもちゃ会社の社員となって社会人生活を始めたという設定のファンタジー映画です。
ニューヨーク市の、おそらくメーシーズと思われるデパートのおもちゃ売り場を訪れた時、フロアに置かれたオルガン鍵盤の上を脚で踏むと音階が出るので面白がっていたら、偶然通りがかった自分の会社の社長と意気投合して、即興で連弾するという微笑ましいシーンです。
https://www.imdb.com/title/tt0094737/mediaviewer/rm3761163009/?ref_=tt_md_1
ストリートピアノのあるべき姿のような気がします。
私が普段通るエリアにはストリートピアノを見かけないので、最近どのような雰囲気なのかよく分かりませんが、個人的にはストリートピアノやストリートミュージシャンの音楽に少し立ち止まることはありますが、それほど聞き入る事はありません。
プロ並みにうまい場合ならば聞き入ることもあると思いますが、街の雰囲気の一部であるという感じで、それほど期待もしないですし、それほど邪魔だとも思いません。
一時関西のJR駅のホームに、四六時中クラシック音楽が流れていたことがありました。
電車を待つ時間が長い場合は、逆にバロックのようなクラシックを、拡声器のような音質の悪いスピーカーから流れる音楽はノイズでしかありませんでした。
苦情が多かったのかそのうちに消えてしまいましたが、ストリートピアノもその場の雰囲気として相応しいかどうかが分かれ目なように思います。
それから演奏する人や通りがかった聴衆に余裕がなければ、なかなか良い雰囲気を作り出すことはできないでしょう。
演奏会などでもそうですが、演奏者と聴衆のどちらもが素晴らしい人達で、うまく噛み合ったときに最高の音楽が生まれます。
ただ余ったピアノを置いておけば、良い音楽が奏でられて人々が聴き入るというほど簡単ではありません。
今回撤去されたピアノには残念ですが、ストリートピアノという取り組みは今後も続けて頂きたいと思います。