キヤノンが「レンズ交換式デジタルカメラで20年連続シェアナンバー1」ってか?

最近この手の情報には疑いかかって見る癖がついてきました。日本国内のあらゆる産業で、そんなに威勢のよい話はなくほとんどが眉唾ものが多いです。

確かにニコンの調子が悪いままですし、かつてのミノルタはソニーに成り下がり(ソニーが悪いというわけではなく、カメラ業界が電機業界に飲み込まれたことが問題という意味)、かつてのペンタックスは今はどこに行ったのかも分からない有様です。

ですからかつて日本のメーカーが世界を席巻したレンズ交換式カメラで、かろうじてキヤノンが製品を出し続けているということは、過去の栄光を守っているという点では立派と言うしかありません。

シェアナンバー1をあまりにも強調するあまり、売上がどうなっているのか誰しも気になりますが、「業界動向リサーチ」サイト(https://gyokai-search.com/3-camera.html#jump2-1)によりますと、スマートホンに押されてデジタルカメラの出荷額は、2011年からの11年間で93%減少したということです。

ですからデジタルカメラ市場自体が消えかかっていると言えましょう。

もう完全に趣味の世界の製品になってしまっていて、かつてのオーディオ製品のように一部の高級オーディオマニアの嗜好品になっているのと同じ運命にあるようです。

オーディオとカメラは、もともと趣味として似ているというよりほぼ同じジャンルですから、どちらも安価なデジタル製品が大量に出回ることによって、駆逐されることになったのでしょう。

幸いキヤノンには他の製品群がありますから企業としては存続できていますが、かつてのオーディオメーカーが海外ファンドの傘下でかろうじて生き延びていたり、あるいはすでに消滅していることから思えばまだましなのかも知れません。

かつて日本が世界に誇った精密産業の中で、時計は今でも世界に伍していますが、これは中国製が絡んでいないことが大きいと思います。

最も時計の市場規模もスマートホンで縮小しているでしょうが、時計自体がもともと趣味性の高い高級品が市場を牽引していましたから、レンズ交換式カメラと同じように趣味性が高い分野しか残らないのかも知れません。

日本人の深掘りで繊細な性格から生み出される製品は、趣味性の高い製品にこそ生かされると思います。

伝統芸術品に日本の技が残されているように、カメラ、オーディオ、時計などの高級品では、これからも日本の製造技術を生かして良い製品が作られ続けるのかも知れません。

イタリアの工房から生み出されるバイオリンや革製品と似ているかも知れません。

日本にも中小企業が多いことですから、これからは大量生産を目指すよりも、少量高品質な製品で価値を見出すような製品を目指す、「ナンバーワンよりオンリーワン」が日本の産業が目指す方向なのかも知れません。