ムーアの法則に思う

半導体業界で長年の間何度となく聞かされた「ムーアの法則」。

必ず業界にはいかにも真理のごとくムーアの法則を崇める人がいたりしましたが、今から思えば別に法則でもなんでもなくて、ただの経済的な経験値だったのかもしれません。

すなわち、半導体の世代が交代するためには、テクノロジーが進歩して生産設備や素材などが進化しなければならず、同時に作られた半導体を利用する製品についても新しい製品群や機能が開発されていなければなりません。

ただそのサイクルが1年とか2年ごとに訪れただけで、別に半導体の集積化に自然法則があったわけではないのにもかかわらず、不思議と法則のごとく振る舞ったという意味では将来予測としては秀逸だったと言えるでしょう。

もはやインテルが半導体業界を牽引する訳でもなく、微細技術もこれまで通りに進化することはないでしょうが、それでもなお米国や日本で新しく半導体の製造工場を新設する計画が目白押しであることは、半導体の永続的な供給の重要性がより増しているということでしょう。

ここしばらくはシリコンなどの無機半導体が主流であり続けるでしょうが、有機半導体や生物セルなどが最先端技術として取って代わる日もそう遠くはないかもしれません。

半導体産業の世代に渡って君臨した法則は、その終焉とともに全く新しい技術に引き継がれて行くのかもしれません。