正直まだクラウドの正体が掴みきれておりません。
だから、私にはクラウド上に銀行のシステムを構築することの危険性がよく分かっておりません。
地銀の銀行システムをクラウド上に構築する計画が進んでいるそうですが、そのシステムを考えている人たちは、クラウドが安全だという結論に至ったのでしょうか?
「どうぜ100%安全なんて、どの世界にもあり得ないものだよ」というのが合言葉になっていないことを祈ります。
銀行のオンラインシステムは、電算センターの所在地もシステム構成やバックアップシステムの方法も、関係者以外には一切漏らされない厳重なセキュリティのもとで管理されてきました。
以前は電話交換局も、戦争になったら真っ先に狙われるということで、住所や所在が隠されてきましたが、最近はなぜか公開されつつあるようです。電話局が重要な通信の拠点ではなくなってきているからでしょうか?
クラウドと言えば、その拡張性、可用性、柔軟性で様々なオンラインシステムで利用されていて、国内だけではなく海外も含めた複数のデータセンターを組み合わせることで、地震や火災などの災害に強いコンピューターインフラを構築できるのは、確かに銀行システムとしても重要なメリットと言えるでしょう。
ただ、住民票や納税の情報でさえ、どこのコンピューターにデータがあって、誰がどのように管理しているのかが問われるのですから、預金データがどこのあるのかも分からない(分かりにくい)クラウド上に存在することに不安を感じる人も多いのではないでしょうか?
しかも、国内には有力なクラウド環境が立ち上がっていないため、自然と最大手のAmazon Work Spaceに乗っ取られる気配があります。
レンタルサーバーやオンラインサービスでもそうですが、業者がやっているサービスにはセキュリティ上の問題以外に、サービスが商品である以上永続性やコストに不確定な要素を含みます。
要するにお金を他人に預けるのですからそれなりに信用がないといけない訳で、官立のクラウド業者が立ち上がるまでは(そんなのが立ち上がる計画があるかどうか知りませんが)銀行のシステムはオンプレミスで稼働させる必要があるのではないかと思います。
総務省の管轄で個人情報を保護するネットワークを担当する部署があるらしいですが、その部署が中心となって銀行システムのクラウド化をサポートすることが必要なのではないかと思います。
銀行システムの構築には時間がななるので、あるところまで進んでしまうと後戻りできません。
「動かないコンピューター」の再来とならないように、注意深く、かつ迅速に事を進めて頂きたいものです。