国策半導体会社はおそらく失敗する

政府が投資して新しい半導体設計会社「ラピダス」を作るというお話。

50年ぐらい前にコンピューターでも同じことをやって、うまく行った記憶がある人が言い出したのでしょうか? (本当にそれがうまく行ったかどうかは、今更分からないですが、、、)

国内の半導体メーカーが危うくなったときから、何度も国の支援で半導体企業の再生を試みてきましたが、誰の目から見ても税金の無駄遣いだったのではないでしょうか?

いくら税金を投入してテコ入れしても、それまでに半導体企業で失敗した経営できない人たちに任せても同じ轍を踏むだけ。

それこそ一気に異なる分野の人材をトップに据え付けて、例えば日航の復活に貢献した稲盛氏のような大胆な人事を行わなければならないでしょう。

そもそも、台湾TSMCを誘致して工場を作っている最中に、さらに別の半導体設計会社を作ってそれにも投資をすると言います。

TSMC、つまりファウンドリーは製造会社で、他社が設計したマスクレイアウトを受け取って半導体チップの製造を請け負う企業であり、かたや今回話題の「ラピダス」はマスクレイアウトを作る半導体設計会社です。

これら2つを同時の分野で世界に打って出るには、20年遅かったように思います。手に負えなくなった日本メーカーのメモリーやロジックチップ部門を合体させたときにしておくべきだったでしょう。しかも投資金額が小さい。

特にラピダスに出資参加する企業は、昔の半導体企業懇親会だったSTARCと同じノリで参加しているとしか思えません。とりあえず乗り遅れないように参加費だけ払っておこうと。

半導体設計はいわば企業の秘密の塊ですから、1つの企業ですべての企業の設計を引き受けるということにはならないでしょうが、おそらく高騰する半導体設計ツール、例えば何億もするCadneceやSynopsysのツールを共同で所有すれば安くなるという算段が、今回の提携の本音のような気がします。

まあ今後の追加投資と本気になるかどうかで成否が決まるでしょうけど、投資額も本気度も十分だとは思えません。「ばらまき」の一つで終わらなければいいのですが。

米国の大量レイオフと在宅勤務

なんか最近アメリカでIT企業の大量レイオフが目立っていますね。

従業員の半分をカットするなんていう話もあって、順風満帆な成長を続けていたIT企業の採用バブルが弾けたような印象を受けます。

アメリカの企業は、業績が伸びているときは「人材こそが企業の力!」とか言って積極的に採用を繰り返しますが、いざ景気が悪くなってくると「人材はただのコストだ!」だと言い換えてやたらとカットしまくります。

それはそれで企業経営としては正しくて、カットできずに経営に影響が出てきても余剰人材を抱え続ける日本企業に比べて、よほど健全なのかもしれません。

私の前職の会社では、新型コロナの影響で本社を縮小して在宅勤務を基本としたため、オフィスには数ヶ月に1度行くかいかないかでした。

ただ、業務がソフトウェア開発だったためアウトプットが明白で期限も決まっていましたから、在宅勤務でもパフォーマンスは求められて、それほどオフィス勤務と比べて業務量・質ともに変化がありません。

よく言われる通勤時間が削減できるメリットだけを享受して、業務的には大きな変化がなかったと思っています。(思っているだけかもしれないが、)

思うに、在宅勤務は突発的に始まったので、業務と評価の定義がないままリモートのツール、例えばZOOMや事務のオンライン化ばかりが注目されましたが、実は在宅勤務のルールや評価方法を詳細に定義して徹底することをしていない企業が多かったのではないでしょうか?

その結果として、働かない幽霊社員が存在していて、在宅勤務やその評価方法がないために、幽霊社員の評価や処分ができないまま放置されているというのです。

そのうち日本でも、アメリカのT企業のような方法で人材カットを始めて、本人が知らない間に大量の幽霊社員がいなくなっているかもしれません。(怖っ!)